借りた物を返すのは当たり前なのに・・・
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1.学校には「貸し傘」や「貸しスリッパ」があるんです!
みなさんは学校に「貸し傘」や「貸しスリッパ」があるのをご存じですか?
最近の学校では、傘を忘れた子供のために「貸し傘」があります。
同様に上履きを忘れた子供のために、「貸しスリッパ」というものもあります。
「子供が傘を忘れてしまった時に、濡れて帰らせるのはかわいそう!」
「上履きを忘れたときに、スリッパがないと靴下が汚れてかわいそう!」
「足が冷たくなってかわいそう!」
このような理由から、「貸し傘」や「貸しスリッパ」を置いている学校が多くあると思います。
私の学校では、「貸し傘」「貸しスリッパ」をこのように管理していました。
① 傘、上履きを忘れた。
② 学年主任の先生に申し出る。
③ 名簿に名前を書く。
④ 傘、スリッパを借りる。
⑤ 翌日(スリッパは放課後)学年主任に借りたものを返す。
⑥ 主任は名簿の返却欄にチェックを入れる。
2.「貸し傘50本」と「貸しスリッパ50足」を準備!
A市の北中学校で生徒指導主事をしていたときの話です。
北中学校は大規模校で1学年250人弱の学校です。
私は生徒指導主事として4月の最初に「貸し傘」と「貸しスリッパ」を用意しました。
万が一、多くの子が忘れた場合でも貸出ができるように、傘を50本、スリッパも50足ほど用意しました。
返却を前提としているため、全ての傘とスリッパに番号を書き管理することにします。
※ 私が赴任したときは傘やスリッパに番号は書いてありませんでした。
3.突然の雨!傘の貸出が増えるはず!
私が北中学校に赴任して半年ほどが経った頃。
突然、土砂降りの雨が降ってきました。
天気予報でも雨の予報はなかったため、傘を忘れた子が多くいます。
放課後、傘の貸出で混乱することが予想されたため、私は「傘の貸出窓口」を設置することにしました。
そして、担任の先生たちに次のように伝えます。
「傘を借りたい生徒は『帰りの会』終了後、職員玄関前の『貸出窓口』に来るように伝えて下さい。」
私はクラスの「帰りの会」を副担任にお願いし、「貸し傘」をしまってある倉庫に向かいます。
貸出窓口に「50本+αの傘」を準備しておこうと考えたのです。
4.50本あるはずの貸し傘が24本しかない!
貸し傘をしまってある倉庫に入った私は違和感を感じました。
ただ、その違和感の正体はスグに分かります。
50本あったはずの貸し傘が極端に少なくなっていたのです。
実際に数えてみると、貸し傘は「24本」しかありません。
貸し傘が「半分以下」になっている事は気になりましたが、そこで考えている時間はありません。
私はスグに倉庫の奥にしまった「廃棄予定の傘」から、使えそうな傘を選び「貸し傘」を補充します。
少し壊れている傘もありましたが、何とか60本ほどの貸し傘を用意することができました。
5.貸し出すときに一声かけたことで返却率アップ!
放課後、「貸出窓口」には傘を借りたいという子供が60人ほどやって来ました。
私は順番に名簿に名前を書かせて、次のように言って傘を渡していきます。
「明日、職員室に持ってきて!」
「絶対に忘れないでね!」
翌日、ほとんどの生徒が傘を返しに来ました。
もちろん、数人ほどですが忘れてくる子もいました。
私は「忘れた子の担任」に声かけをお願いしました。
「明日は必ず傘を持ってくるように伝えて下さい。」
「もし持って来なければ、放課後とりに行かせると伝えて下さい。」
「あと親にも連絡すると伝えて下さい。」
担任に声をかけてもらったことで、傘を貸した2日後には全ての傘が返却されました。
6.「貸し傘」だけでなく「貸しスリッパ」も半分以下に!
全部の傘が返ってきたことで一安心した私は、貸出前の時点で「貸し傘」が半分以下に減っていたことを思い出します。
そこで、私は名簿を確認しました。
すると「返却されていない傘」が20本ほどあることが分かったのです。
※ それでも少し足りないのですが・・・。
同様に「貸しスリッパ」も調べてみると・・・。
50足中15足が返却されていないことがわかりました。
いくら古かろうと傘やスリッパは学校の備品です。
また、「借りたものを返さない」というのは、教育上よいことではありません。
私は未返却の子供をピックアップして、スグに返却させようと考えたのです。
7.スグに返却するように呼びかけると・・・
未返却の「貸し傘」「貸しスリッパ」の内訳は次のようになっていました。。
1年生(私の学年):0人
2年生(主任は体育):2人
3年生(主任は渡壁先生):29人(うち4人は両方)
すぐに私は各担任に指示を出します。
「先生のクラスの○○が傘を借りたままです。」
「スリッパは今日の放課後、傘は明日までに回収してください。」
しかし、翌日に返却された「貸し傘」と「貸しスリッパ」は半分ほどでした。
「借りたことを忘れてしまって、どこにあるか分からないそうです。」
「家を探したけれど見つからなかったと言っています。」など
どうやら、未返却の理由は「紛失」のようです。
8.スリッパの紛失が少なかった理由は?
そんな中、「貸しスリッパ」の紛失が少なく、回収率が高かったことには少し驚きました。
ただ、子供たちが「貸しスリッパ」を紛失しなかった理由は納得がいくものでした。
なぜなら、その子たちは「貸しスリッパ」を自分専用に使っていたからです。
上履きを忘れたとき用に下駄箱に入れてある子もいれば、常にスリッパで過ごしている子供もいました。
常にスリッパを履いていたのであれば、貸出責任者の主任はスグに気づけたのではないでしょうか?
そこで、上履きを履く(持ってくる)指導をしていれば、スリッパを自分専用にすることはなかったと思うのですが・・・。
ただ、3年の学年主任は渡壁先生です。
子供たちの「明日、持ってきます!」という言葉を信じ続けていた(?)ことは容易に想像できたのです。
9.借りた回数:1年生18回、2年生25回、3年生143回?
私は「貸し傘」や「貸しスリッパ」の名簿に「3年生」の名前が異常に多いことに気づきました。
そこで、半年間の名簿を全てチェックし、どの学年の子供が「貸し傘」や「貸しスリッパ」を多く利用しているかを調べます。
・1年生(私の学年) 合計:18回
・2年生(主任は体育) 合計:25回
・3年生(主任は渡壁先生) 合計:143回
圧倒的に渡壁先生の学年が多いことがわかりました。
実際、「貸し傘」や「貸しスリッパ」の未返却、紛失のほとんどが3年生であったことからも、この結果は妥当なものと言えるでしょう。
それにしても、3年生の利用者が1,2年の6~7倍と言うのは・・・。
良く言えば「借りやすい雰囲気」がある、悪く言えば「安易に借りている」と言えるでしょう。
学校の「貸し傘」や「貸しスリッパ」としては、どちらか良いのでしょうか?
10.忘れ物が「多い」と「少ない」この違いは?
6~7倍もの違いは、どこから来るのでしょうか?
1年生が「貸し傘」や「貸しスリッパ」を借りに来たとき、私は常に声をかけます。
「明日(放課後)にちゃんと持ってきてよ!」
「忘れないようにしてよ!」
「借パクはダメだからね!」
子供たちに対して「強く」指導をしているわけではありません。
当たり前のことを当たり前に伝えているダケなのです。
2年学年主任は体育の先生です。(野球部顧問でもあります。)
昔ながらの体育の先生をイメージして下さい。
そのイメージがピッタリの先生です。
2年の学年主任は「強い声かけ」をしていたそうです。
「次は絶対に忘れるんじゃないぞ!」
「必ず、返しに来いよ!」
「忘れたら、明日は貸さないからな!」
11.人間だから忘れることもあるよ!?
3年主任の渡壁先生は「問題行動を起こす生徒」や「そのお親たち」から、「良い先生」と評判の先生です。
「渡壁先生は子供の話を信じてくれる!」
「子供のことを信用してくれる!」
「あの先生が怒っているところを見たことがない。」
「常に笑顔で優しい先生だ!」
「子供の気持ちに寄り添ってくれる!」など
ただ、渡壁先生の学年では、必ず「いじめ」が起こり、「不登校」の子供は全国平均の倍以上となります。
さて、保護者から評判のよい渡壁先生はどのように声をかけていたのでしょうか?
「スリッパ(傘)を忘れちゃったの?」
「それは大変だね~。」
「そこに名前を書いて持っていっていいよ!」
返却率が悪いことについても聞いてみました。
「人間だから忘れることもあるでしょ!」
「西川先生だって忘れることはあるでしょ?」
「今どき、傘とかスリッパを盗む子なんていないよ!」
「子供たちはチャンと返してくれるよ!」
12.損害はないから返さなくてもいい?
元々、忘れ物として倉庫に保管されていた傘を「貸し傘」としていました。
また、新しいスリッパを買ったことで、必要なくなった古いスリッパを再利用しているのが「貸しスリッパ」です。
備品とは言っても、それらが、なくなったからと言って損害が生じるものではありません。
ただ、私は教師として、「貸し傘」「貸しスリッパ」と名前がついている限り、「借りたら返すこと」が「正しい考え」だと思っています。
「損害がないなら気にする必要はない!」
「子供たちを信じてあげることが大切だ!」
このように考えている先生は少なくありません。
しかし、このように考え「ルール」を疎かにする先生が多い学年は「荒れ」ていく傾向にあります。
当然ですが、学年が「荒れ」ると、「いじめ」や「無視」などの問題行動が多くなり、真面目な子供たちが「不登校」となってしまうのです。
真面目な子供が損をするような学校(学年)にはしたくないと思っているのは私だけなのでしょうか?
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