いじめ相談について
目次
1.ダメな母親じゃない!
「私はダメな母親です!」
「自分の子どもが『いじめ』られているのに気づいてあげられなかった・・・。」
「子どもも私に相談をしてくれなかった。」
「信頼されて無かったんです・・・。」
「本当にダメな母親です。」
このお母さんは、カウンセラーさんにこう言われたそうです。
「親に『いじめ』の相談が出来ないのは親子の信頼関係がないからです。」
私はお母さんに下記のようにお話をさせていただきました。
「そんなことはないですよ。」
「自分が『いじめ』られている事を親に相談する子は少ないんです。」
「親に心配をかけたくないと思ってるんです。」
「お子さんは、お母さんに心配をかけたくなかったんですよ。」
「優しいお子さんに育ってますね。」
2.いじめの原因は担任
昨年、小学生のお子さんをもつお母さんから下記のような相談をいただきました。
「息子がクラスで『いじめ』にあいました。」
「それが元で不登校になってしまいました。」
話を聞いていくと、いじめの発端は完全に担任の先生でした。
「今から体育でドッチボールをします。」
「3つのグループに分かれて下さい!」
このお子さんは、どこのグループにも入れなかったそうです。
「○○くんをAグループに入れてあげて!」
先生がAグループの子に言うと・・・。
「え~!あいつを入れるの?」
「あいつ下手だからな~!」
「仕方ないな!入れてやるよ!」
このように言われて嬉しい子どもがいるのでしょうか?
3.いじめ被害者の人権は?
別のお母さんからも同じような相談をいただきました。
「娘が友達から『いじめ』られて・・・。」
「毎朝、泣きながら学校に行きたくないと言うんです・・・。」
この娘さんがいじめられた原因も担任の先生です。
「今から席替えをします!」
「班長の6人は、順番に班員を指名して下さい!」
どうやら、この担任は子どもの「意見を尊重」したり、子どもの「自主性」を大切と思っている先生のようです。
この席替えの方法で「傷付く子ども」がいることを想像できないのでしょうか?
この娘さんは、最後まで班長から指名を受ける事が出来ませんでした。
さらに悪いことにクラスの人数は31人です。31人を6つの班に分けると1つの班だけ6人の班が出来てしまいます。
班長たちは、この娘さんをどの班に入れるのかで揉めたそうです。
そんな状況にも関わらず担任は何も言いません。「いじめ」が発覚してからお母さんが話を聞くと、担任はこのように言ったそうです。
「子どもたちの意見を無視して班に入れることはできません!」
「私は自主性を大切にしているんです!」
1人だけ選ばれなかった子どもの人権は無視していいのでしょうか?
4.いじめは絶対に許さない!
私は25年間、このように思って担任をしてきました。
『いじめに気づかないなら教師失格!』
『いじめに気づいているのに何もしないのは人間失格!』
もちろん、1人の人間ですから限界はあります。ただ、それを言い訳にはしたくないと思っていますた。
そこで私は、4月の最初に行われる授業で、子どもたちに下記のような話をします。
「いじめは絶対に許しません!」
『私はいじめたつもりはないんです!』
『ちょっとふざけたダケなんです!』
「それが本当だとしても、相手がツラい思いをしたんです!」
「だから、いじめは絶対に許しません!」
5.注意ができない時はコッソリ教えて!
『友だちがいじめられている!』
「こう思ったら、加害者に注意をして下さい!」
『注意をしたら自分がいじめられるかも・・・。』
「こう思ったら、先生に教えて下さい!」
『先生に言ったことがバレたら、チクったと言われる・・・。』
「毎日の交換日記で先生に教えて下さい!」
「中身は他の人に見られないから大丈夫です!」
「毎月、行われる、いじめアンケートに書いてもいいです!」
「安心して下さい!」
「1人だけ書いていると思われないように工夫をしてあります!」
「いじめに気づいたら、少しでも早く教えて下さい。」
『それでも、先生に言うのはこわいな・・・。』
「放課後、家から電話をしてくれた子どももいます!」
「お母さんやお父さんに相談をしてくれた子どももいます!」
「そのお母さんが先生に電話で教えてくれたこともあります!」
6.相談しても先生が動かなかったら?
『勇気を出して「いじめ」の相談をしたのに・・・。』
『友達のために先生に言ったのに・・・。』
「先生たちが忙しいと言って対応をしなかったら。」
「そのときは校長先生に言ってください!」
『それでも先生たちは対応してくれない・・・。』
「そのときは、遠慮しないで教育委員会に言ってください!」
「TVや新聞に相談するのもいいでしょう!」
「そうすれば、先生たちは慌てて対応を始めるはずです!」
「もちろん、先生はスグに動きます!」
7.友達が先生に相談してくれたから僕は笑顔でいられる!
『クラスの友達が担任の先生に言ってくれたんだ!』
『担任の先生は私に何度も何度も謝ってくれたよ!』
『そして、生徒指導主事の先生と一緒にいじめをなくすために動いてくれた!』
『それでも悪口を言ってくる子はいたけど・・・。』
『でも、それ以上に味方が増えたんだ!』
『Aくんが悪口を言ってきても、みんながAくんを注意してくれるんだ!』
『だから、Aくんたちが怖くなくなったよ!』
『だって、クラスのみんなが味方になってくれたから。』
「これは、本当にあった話です。」
「クラスの友達がコッソリ担任に相談しました。」
「それを聞いた担任は生徒指導主事に相談をします。」
「担任は固い決意をもって、いじめの加害者と闘いました。」
「いじめの加害者は担任をバカにしています。」
「でも、クラスのみんなは一生懸命な担任をフォローします。」
「そして、いじめの被害者をみんなで守ったんです。」
『あのとき、友達が先生言ってくれたから僕は笑顔なんだ!』
「クラスの子が勇気を出して先生に相談したことで、この子は救われたんです!」
「だから、みんなも手伝ってください!」
「もし、先生がいないところでいじめがあったら、コッソリ教えてください!」
「いじめで苦しむ子がいないように協力してください。」
8.いじめのないクラスは存在しない?
教員時代、この話を同僚の先生や保護者にしました。すると同僚の先生だけでなく、保護者からもこのような言葉をもらったことがあります。
※もちろん、私の話を聞いて協力して下さった親御さんもたくさんいます。
※同じような話をしたいと言ってメモを取ってくれた先生もいました。
「いじめのないクラスなんて存在しない!」
「全てのいじめを把握しようなんてムリに決まっている!」
「全員が仲間のために行動するなんてありえない!」
「忙しいのに、いじめの対応なんてしてられない!」
もしかしたら、この記事を読んで下さっている方の中にも同じことを考えている方がいるかもしれません。
でも、そんなことはないんです!
「いじめ」のないクラスを作ることは出来るんです。
9.いじめを許さない担任と仕方ないと思う担任
私はクラスの全員が認め合える学級運営を心がけてきました。また、クラスの全員が仲良く、楽しく過ごせる学級運営も心がけてきました。
学級運営に関する本をたくさん読みましたし、研修にも参加しました。様々な方の論文も読みましたし、自分で論文も書きました。
もちろん、完璧な学級運営ができたとは思っていません。
それでも、「完璧を目指そう!」「いじめを絶対に無くす!」と思って仕事をしている担任の方が安心できると思いませんか?
「何をやっても『いじめ』がなくなることはない!」
こう言って、何も努力をしなくていいのでしょうか?
いじめられて傷付いている子を助けなくていいのでしょうか?
青臭いと思われるかも知れませんが、今でも私は「いじめは絶対に許さない!」と思って、相談業務に臨んでいます。
10.27年間で最もスゴいクラス!
教員人生で私が最も嬉しかった言葉は、教員最後の年に保健の先生からいただいた言葉です。その言葉をいただいたのは修学旅行の夜でした。
※保健の先生は4月に私の学校に来たばかりの先輩の先生です。
「西川先生!先生のクラスはどうなってるんですか?」
私のクラスの子が何かしたのかと思って聞くと・・・。
「私は27年間、毎年、修学旅行に行ってるんです!」
「その27年間で、こんなに男女問わず仲が良いクラスは初めてみました!」
「なんで、男女問わず、あんなにおしゃべりが出来るんですか?」
「どうしたら、誰とも楽しそうに話ができるんですか?」
「私は小学校のAちゃんを知ってるんです。」
「おとなしい子で、友だちも少なくて、いつも周りの子の顔色をうかがってたんです。」
「そのAちゃんが、笑顔で話していたんですよ!」
「大きな声で男子とも話していました!」
「あんな笑顔のAちゃんを見たのは初めてです!」
そして、最後にこのように言ってくださいました。
「西川先生!先生のクラスはどうなってるんですか?」
「どうやったら、あんなに仲が良いクラスになるんですか?」
11.様々ないじめの相談に対応!
私は長年、生徒指導主事の役職をいただいていました。そこで、様々なトラブルの対応を行ってきました。
クラス内の「いじめ」だけでなく、ネットの「いじめ」、他学年の「いじめ」、部活の「いじめ」、他校を巻き込んだ「いじめ」などの対応もしてきました。職員室での「いじめ」に対応したこともあります。
教員時代は生徒指導主事や学年主任として、退職後は公認心理師として、様々な「いじめ」の相談をいただき、対応の助言をさせていただいております。
「いじめられる方にも問題がある!」
未だにこのような事をいう先生もいるのが現実です。
いじめは子どもの一生を左右してしまう大きな問題です。もし、お子さんが「いじめ」で苦しんでいるのであれば、その後に心が回復していないのであれば、正しい対応をして子どもの気持ちを楽にしてあげてください。
そのお手伝いをさせていただけるのであれば幸いです。