1.荒れている学校から生徒指導のご指名が来た
目次
2.希望を出していないA市に異動が決まった?
今から約10年前(執筆時2024年)の3月1日。
当時、生徒指導主事をしていた私は校長室に呼ばれ次のように言われます。
「A市の学校に行ってもらうことになったから!」
基本的な人事は3月の時点でほとんどが決まっています。しかし、急な変更で勤務校が変わることもあるため、この時点では配属される「市内だけ」が告知されます。
ただ、おしゃべりな校長は、ついつい学校名を言ってしまうことも・・・・。
3.A市には荒れている北中がある!
A市には北中と南中の2つしかありません。この時点で私が4月から勤務する学校は北中か南中に絞られます。
しかし、私には心配事がありました。それは北中が「荒れた学校」であると言うことです。北中は近隣で「最も荒れている学校」と言われていました。校内での問題行動だけでなく、校外でも問題行動を起こしています。
少し前に行われた、各学校の生徒指導主事が集まる研修でも、話題の中心は「北中」の問題行動です。
「いや~、本当にやばいよ!」
「常識が通じないんだよ!」
「あいつら、本当にやばいよ!」
「西川先生!」
「4月から北中に来てよ!」
「生徒指導主事を変わってよ!」
私の先輩である北中の生徒指導主事の言葉です。
とても力のある先生が弱音を吐いている姿を見たときは本当に驚きました。同時に北中がとても大変であることも実感したのです。
4.北中に行くことはない!なぜなら!
反対に南中はとても落ち着いた学校です。学校の規模は変わらないのですが、同じ地域にあるとは思えないほど良い学校です。
部活の練習試合で2つの学校を見比べると違いは一目同然です。南中の生徒が礼儀正しく爽やかであるのにたいし、北中の生徒は「ヤンキー」としかいいようのない態度です。
私は「生徒指導困難校(荒れた学校)」で生徒指導主事を何度もしてきました。自分の希望ではなく校長や教育委員会のご指名で「荒れた学校」に異動したことが何度もあります。
「もしかしたら、西川先生の次の移動先は北中?」
こう思って下さった方もいるのではないでしょうか?
でも、大丈夫!安心して下さい!私は北中には行きません!なぜなら、北中の新3年生には甥っ子が!新1年生には姪っ子がいるからです。
実は、校長から「A市に行ってもらう」と言われたとき、私は心の中でガッツポーズをしたのです。
そうです!なぜなら、北中の新3年生には甥っ子が!新1年生には姪っ子がいるからです。
5.久しぶりの落ち着いた学校だ!やったー!
初任者として勤務した学校が「荒れ」を立て直すプロ教師集団だったことが、私の教員人生を狂わせ(?)ました。学生時代の私は「子どもたちに勉強の楽しさを教える」ことを夢見て教師に憧れたのですが・・・。
何も分からない初任者時代に、プロ教師たちの対応を見て、一緒に行動をしてしまった私の体には「荒れ」を立て直す遺伝子が組み込まれてしまっています。
そのせいで、その後の教員人生で勤めた学校の全てが「荒れている学校」「学級崩壊学年」「内弁慶不良学校」などだったのです。
もちろん「荒れている学校」にいる子ども(いた子ども)たちが嫌いなわけではありません。全ての子どもは良いところをたくさん持っているからです。
今でも連絡をくれる子もいますし、年に数回ですが一緒に飲みに行く子もいます。
しかし、元来、怠け者の私はこう思ってしまいました。
「やった!」
「落ち着いている南中だ!」
「荒れていないっていいよね~!」
「楽しみだな~。」
私は「マイナススタート」ではない南中で「どのような支援をしよう?」「どのように成長をしてくれるのかな?」と妄想して楽しんでいたのです。
6.えっ?あの~甥っ子と姪っ子がいるんですが・・・
3月の中旬。
私は校長室に呼ばれます。ついに「南中」への異動命令をいただく日が来たのです。私はドアをノックして校長室に入りました。
そこで・・・・。
「西川先生には4月から北中に行ってもらうことになりました。」
「北中の校長や教育委員会が生徒指導主事をしてほしいと言っています!」
「望まれていく異動です!」
「期待に応えられるようにがんばってください!」
私は学校名を聞き間違えたのでしょうか?校長の口から「北中」と言う言葉がでてきたような・・・・?
思考が停止してしまった私の頭が大事なことを思い出してくれました。そうです!私には甥っ子と姪っ子がいるのです!北中に「近い親戚」が2人もいるのです。
「あの~、すみません!」
「北中には甥っ子と姪っ子がいるのですが・・・。」
「南中の間違いではないですか?」
7.そんなことは気にしないで大丈夫!
私の質問に対して校長が笑顔で答えます。
「大丈夫、大丈夫!」
「それは教育委員会もわかっているから!」
「そんなことは気にしないで大丈夫!」
「思う存分、力を発揮して下さい!」
一般的に自分の子どもや親戚がいる学校に勤務することはありません。それによって、保護者から余計な疑いを持たれる恐れがあるからです。
ただ、これはあくまでも慣例であり、自分の子どもや親戚が「同じ学校にいてはいけない」という決まりはありません。不必要な誤解を招かないように、慣例として「親戚」や「子ども」のいる学校に勤務させないようにしているだけだなのです。
8.俺なんか2人の娘と同じ学校に勤務したことがあるよ!
ショックを受けた私がとぼとぼと職員室に戻ると、尊敬する先輩が声をかけてくれました。私は校長室での異動のいきさつを先輩に話します。
すると、私の話を聞き終わった先輩は笑いながら自分の経験を話してくれました。
「俺なんか2人の娘と同じ学校に勤務したことあるよ!」
「あのときは、本当にやりにくかったよ!」
「生徒指導だから悪い子を怒らないとダメだろ!」
「でも、大きな声で怒ったり、悪い言葉を使うと、家で娘に注意されるんだよ!」
『パパ!恥ずかしいから大声を出さないで!』
『悪い言葉を使わないでよ!』
『私たちの事を考えてよね!』
「あれは、本当にやりにくかったよ!(笑)」
私はお子さんと一緒の学校への勤務を引き受けた理由を聞きました。
「だってさ、子どものいる学校は良くしたいでしょ!」
「落ち着いた状態で勉強や部活をしてほしいでしょ!」
「楽しい学校生活を送ってもらいたいじゃん!」
最後にこのように言われました。
「親戚くらい何てことないよ!」
おっしゃるとおりです。自分の子どもと同じ学校に勤務するよりは良いのですが・・・。でも、やっぱり南中が良かったな・・・・。
※ 北中でも楽しく生活することができました。ただ、最初の1年は問題行動の対応で多忙を極めましたが・・・。(笑)
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