発表されたクラスは3月に決めたクラスと違う!クラス替え⑨

クラス替え

発表直前に黙ってメンバーを入れ替えた校長と学年主任

1.クラス替えの最終決定権は校長!実際は学年主任!

 毎年、3学期になると「学級編成会議」が行われます。そこでは「学校の裏話~クラス替え編①~」で紹介した方法で「クラス替え」が行われます。

 「新クラス」が決まると、校長や教頭、教務主任(主幹教諭)、学年主任で「新担任」を決定します。

 「新クラス」や「新担任」の最終決定権は校長にあります。しかし、現実的には学年主任が現場を取り仕切っているため、学年主任の意見通りになることがほとんどです。
 そのため、「学級編成会議」で決まった「新クラス」に対して校長が意見を言うことは、ほとんどないのが現状です。

 どの先生がどのクラスの担任になるのかを決めるのも学年主任です。担任の力量などを考慮して「新担任」と「新クラス」をマッチングしていくのです。
 また、新規採用の先生や若手の先生などが「新担任」として学年に入って来る場合は「新クラス」のメンバーを入れ替えることもあります。

 具体的には新規採用の先生や若手の先生のクラスにいる「やんちゃな子」や「トラブルが多い子」「モンスターペアレントの子」などをベテランの先生のクラスに移動するのです。

 ただ、このように「新クラス」のメンバーを入れ替える場合は、事前に学年主任が「負担増の先生(この場合はベテランの先生)」に相談やお願いをするのが通例です。

2.小学校を学級崩壊させた男ボスと女ボスの担任に!

 ある学校に生徒指導主事として赴任をしました。「荒れている」と評判の学校です。その学校に赴任した年、私は「生徒指導主事」「1年副主任」「1年担任」をすることになりました。

 新1年生は合計4クラスです。A小学校から約120人、B小学校から約40人の子どもが入学してきます。
 ただ、A小学校では3クラスのうち2クラスが「学級崩壊」となっていました。A小学校の子どもたちは小学校の先生にことごとく反発したようです。

 その中にはクラスを学級崩壊に導いたとされる5人(A、B、C、D、E)の子どもがいます。特にAは「男子のボス」でBは「女子のボス」でした。C、D、Eはそれぞれ、AとBの指示に従い暴れていたそうです。

 学年主任からの要請により、私は「男子のボスA」と「女子のボスB」のいる3組の担任となりました。「男子C」と「女子D」は1組、「女子E」は4組となりました。2組に問題児を入れなかったのは、2組の担任が採用2年目の若い先生だったからです。

 AとBはとてもエネルギーのある子でした。学級崩壊のボスになっただけに人を動かすのも上手です。
 私はそのエネルギーとリーダーの資質を良い方向で活かせるように支援をします。その結果、この2人は学級崩壊のボスではなく、学級を良い方向に導くリーダーとなってくれました。

3.学級崩壊させた他のメンバーはどうなった?

 残りの3人はどうでしょう?「男子C」は1組で「悪い頭角」を現してしまいました。常に担任に対して反抗的な態度をとります。注意をされると反抗します。担任も注意をするのですが、どうやら論破されてしまっていたようです。

「それは、おかしいと思います!」
「先生だって帰りの会に遅れてくることが多いですよね!」
「朝読書の時も仕事をしているじゃないですか!」
「自分が出来てないことをヤレというのはおかしくないですか?」

『先生と生徒は違います!』
『私も中学生の時はやっていました!』
『あなたもチャンとしなさい!』

「大人でも子どもでもダメなことはダメだと思います!」
「言ってることに納得できません。」

 同じクラスの「女子D」は「男子C」と一緒になって担任に反抗していました。小学校のときはそこまで目立って反抗するタイプではなかったようですが、「男子C」の影響と担任の対応のミスにより「女子D」も「悪い頭角」を表してしまったようです。

 「女子E」は「男子C」や「女子D」ほどではありませんが、小学校の時と同様に授業中におしゃべりをしたり、別の事をしたりしていました。ただ、1人で反抗する勇気はないため一緒に反抗する仲間をつくったようです。

 それでも「小学校の頃に比べれば担任への反抗は少なくなった」とクラスの子どもは言っていました。

4.学級崩壊させた5人をどう分ける?

 小学校で学級崩壊となってしまった学年ですが、中学1年生では比較的「良い状態」の学年になりました。ただ、1組だけは「悪い状態」」です。学級崩壊までは言っていませんが、担任に対して反抗的な態度が多く見られます。

 中学2年の「クラス替え」では、小学校を学級崩壊させた5人をどのように分けるのかが話題となりました。

(1組担任)
「私はCとDの担任はしたくありません!」
「絶対に別のクラスにして下さい!」
「逆にAとBは私のクラスにしてもいいですよ!」
「この2人は良い子のようですし!」

(2組担任)
「私も出来ればEを別のクラスにしてもらいたいです。」
「私もAかBなら担任をしてもいいです!」

(学年主任)
「AとBは元ボスですので引き続き西川先生(私)にお願いします。」
「また、来年度は新規採用の先生がこの学年に来きます。」
「ですから、Cは西川先生、Eは○○先生(1組担任)、Dは□□先生(2組担任)にお願いします。」

5.話し合いの結果、主犯3人を担任することに!

 私はクラス替えにおいて特定の生徒を拒否したことはありません。当然、この時も1組のボスとなった「男子C」を受け入れる事に反対はしませんでした。逆に、授業で「男子C」を見ていた私は「Cをどのような形で活かそう?」と考えていた程です。

 数回の学級編成会議を経て、最終的には5人を下記のように分担することになりました。

1組(元1組担任)   :E(元2組の小ボス?)
2組(元2組担任)   :D(元1組の小ボス?)
3組(私のクラス)   :A(元男ボス)B(元女ボス)C(元1組の小ボス)
4組(新規採用の先生) :なし

6.新クラス発表!「えっ?主犯格の4人が同じクラス?

 4月になりました。新中学2年生、最初の学年会議で「新担任」と「新クラス」の名簿が学年主任から配られます。

「クラス名簿をつくりました!」
「気になった所は私の考えで少し変えさせてもらいました!」
「コレが最終決定の新クラスです!」

 渡された名簿を見た私は声を出してしまいました。

「えっ?これが新クラスですか?」

 渡された名簿を見ると、私のクラスにいたはずの「A」がいません。さらには私のクラスに「B」「C」「D」「E」がいます。編成会議のときは「A」「B」「C」の担任だったはずです。

7.新規採用のクラスに主犯格のAが!?

 「A」と「B」は1年生のときに私のクラスで学級委員をしてくれました。最初は不安もありましたが上手に支援をすることで、1年後には頼りになるリーダーになってくれました。
 特に「A」は1年生の最後に「2年生では学年委員か生徒会をやりたい!」と言うほどに急成長しています。そんな「A」がいつの間にか別のクラスに行ってしまったのです。

 新しい名簿には、小学校を学級崩壊させた5人が下記のように分配されていました。

1組(元1組の先生)  :0人
2組(元2組の先生)  :0人
3組(私のクラス)   :B,C、D、E
4組(新規採用の先生) :A

 「A」の事が大好きで「D」や「E」が嫌いなわけではありません。とにかく驚いたのは「学級編成会議」で決まった5人の配置が大きく変わったことです。私の所から「A」が旅だったのは良いとして、なぜ、「A」が新規採用の先生のクラスに行ったのかが分かりません。

 「A」はリーダーの楽しみに目覚め、学年委員や生徒会を目指していたことに間違いはありません。しかし、元学級崩壊の男ボスである過去もあります。そんな「A」を新規採用の先生のクラスにして大丈夫なのでしょうか?

8.コッソリと主犯格を別のクラスに変えた理由

 少しして他の学年主任から「クラス替え」の真相を教えてもらいました。私のクラスに小学校を学級崩壊にした5人のうち「4人」が、新規採用の先生のクラスに「1人」が、1組と2組は「0人」となった理由です。

 学級編成会議で自分の意見が通らなかった1組の担任は校長に直談判します。

「私には子どもが2人います!だから担任を外して下さい!」
「もし、外すことができないのであれば問題を起こす可能性のあるEを私のクラスにしないで下さい!」
「学年主任に相談をしましたが『新規採用の先生がくるから』と言って、話を聞いてくれません!」
「もし、Eが私のクラスで問題行動を起こしたとしても、私は対応しません。」
「それでも良いんですね!」

 波風を立てなくなかった校長は学年主任に相談をします。そして、「E」を私のクラスに入れる事を2人で決めたようです。

 数日後、2組の担任も校長室に行き直談判したそうです。

「○○先生(1組担任)に聞きました!」
「私には小さい子どもがいます!そのため残業も出来ませんし、放課後に問題行動の対応もできません!」
「EよりもDのほうが問題が多いんですよ!だから、Dを別のクラスにして下さい!」

 1組の担任の意見を聞いて、2組の担任の意見を拒否する事が出来なかったのでしょう。校長と学年主任は相談をして「D」を私のクラスに入れることにしたそうです。

 しかし、5人全員を私のクラスに入れる事には抵抗があったのでしょう。学年主任は5人の中で落ち着いている「A」と「B」のどちらかを新規採用教員のクラスに入れることを決めたそうです。

 最終的に新規採用の先生が男性だったこと、男子指導と女子指導では女子指導のほうが難しいことから、「A」を新規採用教員のクラスに入れたそうです。

9.学級崩壊させた主犯格が4人もいる元気なクラス

 小学校を学級閉鎖にした5人のうち4人がいるクラスに周りの子どもだけでなく、「B」「C」「D」「E」も驚いていました。担任の私が驚いたのです。子どもたちが驚くのも当然でしょう。

 しかし、このクラスは楽しいものとなりました。

 私は「B」「C」「D」「E」を様々なことにチャレンジさせます。もちろん他のクラスメイトたちにも活躍する場を提供していきました。

 私は週に2回ほど学級通信を発行しています。そこでは、クラスの子どものガンバリ、面白エピソード、子どもたちのコラムなどを掲載していました。
 もちろん、「B」「C」「D」「E」のガンバりや面白エピソードも学級通信に載ります。

 小学校の頃は、叱られてばかりで褒められることが少なかった「B」「C」「D」「E」は、学級通信に載ることをとても喜んでいました。

 「ガンバる」→「褒められる」→「学級通信に載る」→「嬉しい」→「ガンバる」→「褒められる」→「学級通信に載る」→「嬉しい」→「ガンバる」→・・・・・・

 このような良い循環を作ることができたため、「B」「C」「D」「E」は前向きに学校生活を送ってくれたのです。

10.自分たちが信用されて同じクラスになったと思っていた!

 5年後の成人式では「D」と「E」から、おもしろい話を聞く事が出来ました。

「中1のとき、Bが先生と話している所を見てビックリしたよね~!」
「そうそう、あのBが先生と笑顔で話しているのは本当にビックリした!」
「Bは小学校のときに担任の悪口ばかり言ってたもんね~!」
「担任にウザいとか平気でいってたよね~!」
「大人は信じられないが口癖だったもんね~!」
「そんなAが先生と話しているんだよ!それも笑顔で!」
「マジ、ビックリしたよ!」

 何があったのかは知りませんが小学校の時の「女子のボスB」は担任に対して大きな不信感を持っていたようです。それを知っている「D」と「E」だからこそ、「B」が私と笑顔で話をしている姿を見ただけで「B」の変化に気づいたようです。

「2年の時のクラス発表はビックリしたよね~!」
「あれもスゴかったよね!だって、A以外の全員が同じクラスだったんだから!」
「クラス発表の掲示を見て西川先生が担任ってすぐ分かったよ!」
「でも、学年主任も思い切ったことをしたよね!」
「私たちを信用して同じクラスにしてくれたのかな?」

 私は「4人が同じクラスになった」真実を伝えていません。

 主任が「信用」してくれたわけではなく、1組担任と2組担任が「担任をしたくない」と校長に訴えたことを・・・・。

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