短冊を使って基礎クラスを作成!
1.成績順に並べ替えて新クラスの基本が完成!
2月の中旬になると、2週間に1~2回の割合で「学級編成会議」が始まります。もちろん、子どもたちには「今日は会議があるから早く帰るんだよ!」としか伝えません。子どもたちが帰った後、学年部の先生たちは、それぞれの部屋に集まり「学級編成会議」を始めます。
副担任(担任外)の先生がクラスの数×2枚の画用紙を準備してくれています。そこには「1組男子」「1組女子」「2組男子」「2組女子」・・・と書かれています。また、左端には一直線に両面テープが貼られています。
各クラスの担任はテストの成績が記入された、個人の短冊を持って画用紙の周りを囲みます。すると、主任が声をだして数字を読んでいきます。
「男子から始めるよ!」
「1000点(直近2回の定期テスト合計点です。500点×2回)」
「999点」
「998点」
「997点」
「はい!Aくん、997点です。」
成績の項目に「997」と書かれている短冊を持っている担任は、1組男子の画用紙の一番上にその子の短冊を貼ります。主任は続けます。
「996点」
「995点」
「はい!Bくん、995点です。」
成績の項目に「995」と書かれている短冊を持っている担任は、2組男子の画用紙の一番上にその子の短冊を貼ります。
このように、生徒を成績順に振り分けていきます。ポイントは「折り返し」の部分です。この作業は各クラスの成績を平均化するために行う作業です。そのため、折り返し部分をつくらなければ1組の平均点が高くなってしまいます。
分かりやすくするために、「4クラスの学年」を例にお伝えしたいと思います。(下の図をご覧になりながら説明を読んでいただけると助かります。)
成績の合計が1位の子の短冊はA組、2位の子の短冊はB組、3位の子の短冊はC組、4位の子の短冊はD組に貼られます。ポイントは5位の子です。5位の子の短冊を「A組」に貼ってしまうと、自然と「A組」の平均点が高くなってしまいます。そこで5位の子の短冊は「D組」の2番目に貼るようにします。同様に「6位はC組」「7位はB組」「8位はA組」「9位はA組」「10位はB組」「11位はC組」・・・・。
このように「折り返し」の部分を作っていくことでクラスの成績が均等になるのです。
2.情報を元に生徒の短冊を入れ替える
最初の作業で各クラスの成績は、ほぼ平均化されました。次に行うのは「短冊の入れ替え」です。
「1組にはピアノを弾ける子がいません!」
どうやら1組にはピアノを弾ける子が1人もいないようです。すると、他のクラスの短冊を見ていた先生が返事をします。
「3組にはピアノを弾ける子が2人いるよ!どちらか1人を1組に移動させよう!」
「ピアノが弾ける子の成績は・・・。1人は849点!もう1人は658点です!」
ここで1組の短冊を見ている先生は「849点」もしくは「658点」に近い子を探します。
「1組に652点の子がいます!この子と入れ替えましょう!」
このように点数が近い子を入れ替えることで、クラスの平均点の差を小さくしていくのです。同様に「PTA役員」や「走力」「部活」についても均等にするため、確認をしながら入れ替えていきます。
この作業は、それぞれの項目が均等になるまで続けます。ただ、この時点では機械的作業に徹します。「いじめ」や「人間関係」「問題行動」などについては、各項目が均等になってから、本格的に確認と入れ替えを行っていくからです。
3.「均等」にクラスをつくる?それとも・・・?
基本クラスができた状態から、子どもたちの人間関係などを考えて、より良いクラスをつくって行くのですが、この後のクラス作りには2つのタイプがあります。1つが「均等タイプ」でもう1つが「担任を予測してタイプ」です。この2つの違いについて説明をさせて下さい。
均等タイプとは、全てのクラスを均等につくる事を言います。例えばトラブルメーカーが3人いたとします。クラスが3つある場合は、1組、2組、3組にそれぞれ1人ずつトラブルメーカーを入れていくタイプです。トラブルメーカーの人数によってはクラスに偏りがでるでしょう。そんなときは、別の要素で調整します。
「1組はトラブルメーカーが多いから、リーダーの子を多めにしよう!」
「モンスターペアレントは別のクラスにしよう!」など
均等タイプは「どのクラスを担任しても同じ」という考えが基礎にあります。また、担任が正式に決まってから、微調整をしようという考えもあります。
(担任の正式決定は4月ですが、実は1月に内々で決まっているのです。)
4.担任を予測してクラスをつくる?
担任を予測してタイプは、内々で決まっている担任を想像してクラス替えを行うタイプです。前述したように1月の時点で人事異動の9割が決まっています。この時点で校長や教頭は次年度の校務分掌(誰が1年部で誰が2年部)を固めています。主任の意見を聞いて校務分掌を決める管理職もいます。そのため、「学級編成会議」が始まるころには、主任は新担任が分かっている状態です。
「1組にトラブルメーカーが2人いてもいいだろう!」
「逆に2組のトラブルメーカーも1組に入れよう!」
「発達障害の子どもは3組に多めに入れよう!」など
ハッキリと新担任候補の名前をあげてクラス替えを行う主任もいますし、上記の会話のように新担任候補の名前は言わないまでも「におわせ」る主任もいます。ちなみに上記の会話の場合は「1組:エースの担任」「2組:新規採用や若手担任」「3組:支援学校経験担任」の可能性が高いでしょう。
私の教員経験25年では、「均等タイプ」がほとんどでした。ただ、小規模校に赴任した時は「担任を予測してタイプ」で学級編成を行ったことがありました。そこで今回は最も一般的である「均等タイプ」のクラス替えについて詳しくお伝えしたいと思います。
コメント