クラスはどうやって決まるの?クラス替えの仕方!

クラス替え

クラス替え(準備編)


1.1人ひとりの短冊作成

 少し早いと思うかもしれませんが、学校では1月下旬から2月初旬にかけてクラス替えの準備が始まります。具体的には、生徒1人ひとりの「短冊」をつくる作業です。

 生徒1人ひとりの「短冊」とは、「前学年のクラス」「氏名」「成績」「部活」「ピアノ演奏」「運動能力」「PTA役員」「リーダーの資質」「友人関係」「その他」の情報が入った細長い紙のことです。この情報の入力は各クラスの担任が主となって行います。ただ、「運動能力」や「ピアノ演奏」「PTA役員」などは、体育の先生や音楽の先生、主任や副担任、級外(担任をしていないが学年を支援する先生)が行うこともあります。

 それでは、それぞれの項目について詳しくお伝えしていきたいと思います。

2.項目:前学年のクラス

 前学年のクラスとは、子どもが「今いるクラス(短冊作成時のクラス)」です。1組、2組、3組やA組、B組、C組などです。私が学年主任をしていたときは、前学年の部分を色分けして印刷をしていました。1組→赤、2組→青などです。これをしておく理由は後の確認をしやすくするためです。

 前学年のクラスの項目を作る理由は、新しいクラスに旧クラスの生徒を均等に割り振るためです。例えば、クラス数が4クラスで1クラスに男子が20人いる場合、新しいクラスには旧クラスの男子を5人いれるようにします。もちろん、法律で決められているわけではないので「必ず均等にしなければいけない」わけではありません。

 これを元に考えると、新しいクラスに旧クラスの友達が極端に少ない場合は、そのクラスには、教師の意図が隠されていると考えても良いでしょう。具体的には「いじめの加害者グループをバラバラにした。」「多くの親から別のクラスにしてほしいという要望があった」などが考えられます。

3.項目:氏名

 この項目には、それぞれの生徒の氏名が書かれています。親の離婚や親権の問題により、本名ではない氏名が記載されていることもあります。

4.項目:成績

 小学校では成績の項目を作らず、子ども同士の人間関係や親同士の関係でクラスを作ることがあります。

 中学校では高校受験を視野に入れなければならないため、クラスの成績を均等にする傾向があります。「1組の中間テストの平均点が80点」「2組の平均点が50点」のように差が出来てしまうと、親や塾から苦情がきてしまいます。これでは平均点が高いクラスはより高くなり、低いクラスはより低くなってしまう可能性もでてきます。これは子ども1人ひとりの「可能性を伸ばす」という観点からも良い事ではありません。

 私が勤務した学校では、2学期の期末テストの合計と冬休み明けに行った実力テストの合計を足し1000点満点で記入をしていました。

5.項目:部活

 この項目も小学校にはないでしょう。中学校では部活が友達関係に深く関わってきます。
部活が終わったあと一緒に帰ったり、土日の部活に一緒に行ったり、土日の部活終了後に、そのまま遊びに行ったりすることもあるでしょう。そのため、旧クラスの項目と同様に、新クラスに同じ部活の子が均等に入るように配置をしていきます。

 クラス数が多い学校の場合、必ずしも同じ部活の子が均等に入るわけではありません。例えば「A組に野球部は4人」「B組に野球部は0人」「C組に野球部は3人」など、特定の部活の子が全くいないクラスがあったりもします。
 私が関係した学年では、「新しいクラスに同じ部活の子が1人もいない」という状況は一度も作ったことはありません。これらの配慮は主任の考え方が強くでる傾向にあります。

6.項目:ピアノ伴奏

 この項目も小学校にはないかもしれません。中学校では文化祭で「合唱コンクール」を行う学校が多くあります。昔は「金賞」「銀賞」などの優劣をつけていましたが、現在は「発表会」として優劣をつけない学校も増えています。

 合唱を行う際に必要となるのが「ピアノの伴奏者」です。ピアノの伴奏は1日、2日で出来るものではありません。そのため、各クラスに最低でも1人はピアノを弾ける子どもを入れるようにしているのです。

 そこから逆に考えると、ピアノを弾ける子が少ない学校では、どんなに仲がよくてもピアノを弾ける子ども同士を同じクラスにできない現象が発生します。

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7.項目:運動能力

 運動会や体育祭を考えたとき、1つのクラスに足の速い子が集中してしまう事は避けなくてはなりません。なぜなら、運動会や体育祭を行う前に勝敗が決してしまうからです。これでは子どもたちの「やる気」がでません。

 そのため、「足の速い子」や「運動能力の高い子」も、ある程度ですが各クラスに分担するようにします。ただ、この項目は「部活」の項目同様に優先順位は高くありません。年に1度の運動会や体育祭のために「人間関係」が良くない子ども達を同じクラスにしてはクラス替えの意味がなくなってしまうからです。

8.項目:PTA役員

 PTAの役員さんも各クラスに分散するようにしていました。PTA主催の活動(奉仕作業や講演会)の時に各クラスをまとめる仕事があるからです。また、授業参観後の懇談会の司会をPTA役員さんが行う学校もあります。

 ただ、クラスをまとめる仕事も、懇談会の司会も、ほとんどの場合が担任や担当教諭が行っていました。慣れていない役員さんが行うよりも、教師が行ってしまうほうが早いからです。

9.項目:リーダーの資質

 学級の中に「学級委員」などのリーダーとなれる資質のある子どもも分散して配置するようにしています。ベテランの先生は「リーダーの資質」にこだわらない先生が多いのですが、やはり若い先生などは「リーダーの資質」がある子が多くいると安心できるようです。

 私も大学を卒業して最初に勤務した学校では、頼りになるリーダーに助けられたことが何度かあります。(カズキ!あの時は助かったよ!ありがとう!今は50才くらいかな?)

 教員としての勤務を続けていた私はリーダーは「作るもの」「育てるもの」という感覚になっていきました。学校のリーダーは何百人の会社を運営する社長とは違います。実際に、上手に支援をしてあげることで、誰しもがリーダーになれると分かったのです。

 このような考えで学級運営を学び続けたことで、教員生活の後半では「学級委員の選出」に困るほどでした。最後のクラスでは学級委員になりたい子が男子7人、女子9人もいて決めるのに苦労をしました。(安易に投票にはしたくなかったので、じっくり話し合いを行いました。)

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10.項目:友人関係

 この項目には「相性の良い子」や「相性の悪い子」の名前を記入していきます。「いじめ」などの問題行動があった場合は「被害者(A山花子)」「加害者(B川一郎)」などと記入します。

 また、「親からの要望」や「本人からの要望」などの人間関係についても記入をします。私見ですが、25年の教員経験から、この項目には「教師の学級運営力」が表れると思っています。

「AとBを一緒にするとうるさくなる!」
「CとDは些細な事でケンカをする!」
「EはFがいると気が大きくなり問題行動を起こす!」など

 このように、「相性の悪い子」ばかりを書いたり、「マイナスの内容」ばかりを書いたりする先生の学級は「落ち着きがない学級」「まとまりがない学級」となっていました。これは、教師が学級運営において「マイナス」にばかり目を向けてしまうクセが付いているからです。そのクセのせいで、「子どもを褒める」より「子どもを叱る」回数が増えてしまうのです。

 逆に「相性の良い子」や「プラスの関係」を書き込む先生の学級は「落ち着いた学級」「笑顔の絶えない学級」「まとまりのある学級」でした。かく言う私は、下記のような視点で学級の子どもたちを見るように努めていました。

「AとBを一緒にすると相乗効果で力を発揮する!」
「CとDは励ましあう仲間なんだ!」
「EとFはクラスを明るくしてくれる!(ただし、暴走注意!)」など

11.項目:特記事項

 この項目には、「アレルギー」「病気」「発達障害」「不登校」などの内容を記入していきます。

 新しく担任になった先生が知っておいたほうが良いと思われる情報を記入しておくのです。ただ、最近では「学年費未納」「給食費未納」「モンスターペアレント」などの言葉も記入するようになっています。

12.1人ひとりの短冊が完成!

 担任が入力した「クラス替えシート(切る前の短冊)」は、印刷する段階で「女子」と「男子」に分けられています。また、男女別で成績順にならべ変えてもあります。それを、主任や副担任(担任外)は、1人ひとりの幅で切っていきます。このときに切り取ってできた生徒1人ひとりの細長い紙を「短冊」と呼ぶのです。

 当然ですが、短冊には個人情報がびっしり書かれています。そのため、短冊は「学級編成会議」で使用するとき以外は、他の重要書類と一緒に校長室の鉄庫で保管をしていました。

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