普通の基準がおかしくなっている教師達
目次
1.その思い込みは偏見?それとも事実?
あまり良くない事かもしれませんが、生徒指導主事を長く続ける事で、私は次のような「思い込み(?)」を持つようになってしまいました。
「C市とD市の先生は信用できない!」
「この2つの市から来た先生は要注意だ!」
また、次のような「思い込み」も持つようになっていました。
「新規採用がC市とD市の先生は危険だ!」
「教師としての基準がおかしくなっている!」
ただ、C市とD市出身の先生の中には、「飛び抜けて優秀な先生」がいるのも事実です。
もちろん、私がこのような「思い込み」を持つようになったのには理由があります。
2.問題行動は親や土地柄のせい?
C市とD市の中学校は常に「荒れ」ています。
これをC市とD市の土地柄と考える先生は少なくありません。
確かにC市には大きな「ショッピングモール」や「ゲームセンター」など、子供たちが遊ぶ場所がたくさんあります。
「C市には遊ぶところが多いから、子供たちが勉強しない!」
「親が夜遅くまで子供を連れて遊び回っているんだ!」
「だから、子供たちに一般常識がなく学級崩壊するんだ!」
また、D市には「海」があり「漁業関係の仕事」をしている親御さんや「飲食(主に飲み屋)」で働いている親御さんも少なくありません。
「漁師の仕事は朝が早い!」
「そのため子供達の生活が安定しない!」
「当然、心が安定せず学校で問題行動を起こす!」
「親が夜の仕事だから、子供も夜になると出歩く!」
「深夜徘徊したり、外泊したりして問題を起こす!」
学校の「荒れ」や「学級崩壊」は親や地域のせいではなく、教師の問題なのですが・・・。
※ 地域によって親の考え方や基礎学力に差があるのは事実です。
3.自分は悪くないと考える教師
C市やD市の先生は「荒れ」や「学級崩壊」の原因を「子供」や「親」「土地柄」のせいにしたがります。
「学級崩壊したのは子供たちが悪いんだ!」
「親がシッカリと躾をしていないからだ!」
「ここは水商売をしている親が多いから、問題を起こす子供も多いんだ!」
「だから、昔から荒れてるんだ!」
そして、次のように考えたりもします。
「前の学校では学級崩壊しなかった!」
「私のやり方が悪いわけじゃないんだ!」
「このクラスは誰がやっても学級崩壊するはずだ!」
「私が悪いわけじゃないんだ!」
学校や学年の「荒れ」や「学級崩壊」の原因が「自分の力量不足」と思っていない先生たちが「学級経営(学級運営)」や「学年運営」についての勉強をするのでしょうか?
自分の「学級経営(学級運営)と」や「学年運営」を見直すのでしょうか?
4.荒れている状態を普通と思うように
さらに怖い事は「昔から荒れている学校」の場合、多くの先生が同じように考えて仕事をしているということです。
これには「人事異動」が大きく関わっています。
例えば、C市に勤務している先生は、基本的にC市の学校をぐるぐると異動していきます。
C市にある中学校の1つが悪い場合は、それほど問題はないのですが・・・。
C市とD市の中学校のほとんどが、「荒れ」もしくは「荒れに近い」状態の学校です。
そのため、C市やD市の「学年主任」や「生徒指導主事」の「基準」も・・・・。
これによって、先生達の間で「自分たちは悪くない」という傷のなめ合いが起こるのです。
5.基準がおかしくなってしまう先生達
C市やD市に長く勤務している先生たちの「基準」は一般的な先生達の「基準」とズレてしまっています。
例えば、授業中に寝ている生徒がいたとします。
一般的な「基準」では子供に声をかけ、寝ないように注意するでしょう。
熱心な先生は「自分の教え方が悪い」と反省し、子供たちが眠くならないように授業研究をします。
しかし、「荒れた学校」や「学級崩壊」をしている学校の先生は次のように言います。
「昨日は疲れたんだろうね!」
「親子関係に問題があるから仕方ないな!」
「○○さんもガンバっているしな!」
「周りに迷惑をかけてないから注意しなくていいでしょ!」
「眠ることでスッキリしてくれればいいかな!」
本音は「注意」をしてトラブルになることを恐れているだけなのですが・・・。
子供の気持ちに「寄り添う」という言葉を盾に注意をしません。
6.カラカいを注意せずいじめに発展!
同様に「休み時間に友達をカラカっている子供達」がいたとします。
当然ですが「カラカい」は注意をしなくてはなりません。
小さな「カラカい」が発展して、大きな「いじめ」となることも少なくないからです。
熱心な先生は「カラカい」をした理由を子供達から聞いたり、それ以降、「カラカい」が起こらないように対応をするでしょう。
しかし、「荒れた学校」や「学級崩壊」をしている学校の先生は次のように言います。
「お互いにカラカいあってるダケだよ!」
「こうやって社会性が育っていくんだよ!」
「いじめではないから注意をしなくてもいいでしょ!」
※ このような先生達の考える「いじめ」は、相手を殴ったり、集団無視をしたりする状態です。
そもそも、「荒れた学校」や「学級崩壊」をしている学校の先生は、授業以外は「職員室」で過ごすようにしているため、休み時間の「カラカい」に気づくことはありません。
7.授業中のおしゃべりを注意しない理由
授業中の「居眠り」や休み時間の「カラカい」以外にも、様々な場面で自分の対応を正当化します。
「宿題を出さない子供は後で後悔するだろう!」
「高校受験で痛い目に遭うだろう!」
宿題の未提出やテストの点数を正しく評価し「1」や「2」を付ければよいのですが・・・。
このように言う先生たちは、親や子供からのクレームを恐れ、評価の付け方がとても甘く「2」となる子供が数人で、ほとんどの子供が「3」~「5」となります。
授業中の「おしゃべり」について、次のように言っている先生もいました。
「私は子供たちの声やつぶやきを大切にしています!」
「授業を聞いて、自分の思った事を発信できるようにしたいんです!」
「だから、子供たちの自発的な発言を注意することはしません!」
私が校長から命令されて授業を見たときに、子供たちが話していたのは「ゲーム」の話だったのですが・・・。
8.職員室では子供の悪口が・・・
C市やD市の先生達は、学校や学年の「荒れ」や「学級崩壊」が酷くなってきたり、保護者や地域から苦情が来ると態度を一変させます。
「子供の言いなりになる親が悪いんだ!」
「親が躾をしないからこうなるんだ!」
「理解力のない子供たちばかりだから、話をしても意味がない!」
「(発達障害を)持っている子供たちが多いからな!」
「善悪の判断が出来ないんだよ!」など
それまで、「子供に寄り添う」や「子供を信じる」と言っていたのに・・・。
ただ、態度が一変するのは職員室の中だけです。
もちろん、保護者や地域の方たちには次のように言います。
「スグに子供たちに話をしたいと思います。」
「同じような事が起こらないように声をかけていきます。」
「今後も何かありましたら教えて下さい。」
「スグに対応させていただきます。」
当然ですが、子供たちを注意したり、呼び出したりすることはありません。
9.圧倒的にレベルの高い先生もいるけど・・・
もちろん、C市やD市にも素晴らしい先生がいます。
その素晴らしい先生達は圧倒的なレベルの先生です。
私が勤務した感覚ですが、C市やD市の学校が「ギリギリの状態」で持ちこたえているのは、その先生達の力ではないかと思っています。
もちろん、その先生達と一緒に仕事をしたときは学ぶことがたくさんありました。
学級掲示や教室環境に始まり、自主性の育成方法、学級の人間関係、行事などへの積極性などなど。
ただ、この先生達はC市やD市では、それほど認められてもいませんし、尊敬されてもいません。
なぜなら、他の先生達から次のように思われているからです。
「職員会議で多くの提案をしてくる。」
『○○をして子供の自主性を高めましょう!』
『□□が大切だから全員でやりましょう!』
『△△が出来ていないので、出来るようにしましょう!』
「忙しいのに、そんな事は出来る訳がない!」
「余計な仕事を増やさないで欲しい!」
「子供たちは普通だから、余計な事は必要ない!」
C市やD市の「普通」は、他市の「普通」と違うのですが・・・。
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