全てを任せると言う教師!その教師が倉庫に呼び出された!
目次
- 全てを任せると言う教師!その教師が倉庫に呼び出された!
- 1.問題行動を注意をすると素直に謝る子供達
- 2.問題児のいる3年生の教科担当になった
- 3.渡壁主任は子供を信じてる?それとも・・・
- 4.注意をしないで優しく声をかける先生達
- 5.授業中の私語や出歩きが普通の状態
- 6.3年生のカラーリーダを中心に練習が行われる
- 7.荒れた学校の得意技は「臨機応変(無計画)」
- 8.本当のリーダーに近づいている1年学級委員
- 9.その場で「団結式」の段取りを考える3年生
- 10.全てを子供に任せると言って何もしない先生達
- 11.予想どおりグダグダに終わった団結式
- 12.1回目のカラー練習を教頭が見に来た!
- 13.見学に来た教頭はバリバリの生徒指導畑出身
- 14.騒いでいる3年生を注意しようとする教頭
- 15.教頭が3年部の先生を探すが・・・
- 16.教頭が3年部の先生達を倉庫裏へ連れて行く
- 17.3年部の先生達は反省した?対応を変える?
- 18.子供たちを信じて全てを任せた?
1.問題行動を注意をすると素直に謝る子供達
ある年、私はB市の西中学校に生徒指導主事として赴任をします。
B市への異動希望を出していた私でしたが、配属された学校は希望に反し西中学校でした。
西中学校には「荒れている」という噂はありません。
そんな西中に勤務を始めると、新3年生の中に問題行動をする子供達がいる事が分かりました。
しかし、教師が「筋の通った注意」をすると、子供達は素直に謝ったり、従ったりします。
ただ、私の中に「不安に思う気持ち」がなかった訳ではありません。
なぜなら、新3年生の学年主任は「元気の良い子」や「その保護者」から人気のある渡壁主任だったからです。
私は教員生活25年のうち、8年ほど渡壁主任と同じ学校に勤務しています。
幸い、同じ学年部になったことはないのですが・・・。
生徒指導主事として、教科担任として、渡壁主任の学年には何度も関わってきました。
ただ、申し訳ありませんが、どの学年も・・・・。
2.問題児のいる3年生の教科担当になった
B市の西中学校は1学年2クラス(約60人)の小規模校です。
そのため、自分の学年以外の授業も行います。
私の配属は「新1年部」で、役職は「担任」と「生徒指導主事」「特別支援教育コーディネーター」です。
受け持ちの授業は、自分の学年である「新1年生」を2クラス、そして、「新3年生」を2クラスでした。
私は自分の学年である「新1年生」の授業を楽しみにしていました。
それと同時に「新3年生」の授業も「違う意味」で楽しみ(?)にしていました。
なぜならば、同じ教科を担当する長谷部先生が、強引に私を「新3年生担当」としたからです。
ただ、「新3年生」に対しては少し不安も感じていました。
なぜなら、「新3年生」の渡壁主任は「元気のある子」や「その保護者」から人気のある先生だったからです。
3.渡壁主任は子供を信じてる?それとも・・・
渡壁主任は私より10才ほど先輩の先生で、何度か「同じ学校」に勤務しています。
ただ、幸いな事(?)に「同じ学年」となったことはありません。
それでも、「学年主任」と「生徒指導主事」という関係上、様々な話をしてきました。
「あの子達に悪気はないんだよ!」
「実は良い所をたくさん持っているんだよ!」
「心の中では悪いと思っているから。」
「人間は失敗する生き物なんだよ!」
「優しく見守ってあげることが大切だ!」など
これらは、渡壁先生が常に口にしていた言葉です。
しかし、自分の学年の子供達が問題行動を続けると・・・・。
「先生の学年は良い子が多くていいよね~。」
(逆説的に自分の学年は悪い子が多いと言いたいようです。)
「子供の言いなりになる親が多いからなら~。」
「家庭環境が複雑だから仕方ないよ!」
「理解力がない子達ばかりだから何をしても変わらない。」
「(発達障害を)持っている子供達ばかりだからな~。」など
4.注意をしないで優しく声をかける先生達
新学期が始まると、「3年部の先生達」の実態が分かってきました。
とにかく、「3年部の先生達」は子供を指導しない(怒らない)のです。
例えば、子供達が授業中に「うるさく」していても全く注意をしません。
あまりにも隣のクラスが「うるさく」していたので、私が注意をしに行くと「3年部の先生」が優しい声で・・・。
「みんな~。」
「隣のクラスが困っているみたいですよ~。」
「もう少し、声を小さくしようね~。」
「静かに問題をやろうね~。」
「ちゃんとしないと西川先生に怒られるよ~。」
本来は「声を小さく」ではなく「やめなさい」と言い、「静かに」ではなく「黙って」が正しい注意なのですが・・・。
私の名前を出さずに、注意をするのが普通なのですが・・・。
5.授業中の私語や出歩きが普通の状態
当然ですが、子供達は中学に入ってから指導されて(怒られて)いないため、教師に対して「反抗的な態度」をとります。
例えば、授業に関係のない話をしていた事を注意すると・・・・。
『何で注意されなきゃいけないの?』
『悪いことなんかしてないじゃん!』
『コイツ、ウザいんだけど!』
このように思っているように見えるほど、露骨に「イヤな顔」をしてきます。
授業に必要な物が後のロッカーにあったり、トイレに行きたくなったりすると、教師の許可を得ず席を達ます。
本来であれば、授業に必要な物は休み時間に準備をして、トイレも済ませておかなければならないのですが・・・。
しかし、ほとんどの3年生はチャイムが鳴るまで「おしゃべり」を続け、チャイムが鳴ってから「ダラダラ」と席についたり、準備をしたりするのです。
もちろん、3年部の先生が怒らなくても、3年生にイヤな顔をされても、私は注意を続けました。
6.3年生のカラーリーダを中心に練習が行われる
西中学校では、2学期に入ってスグに「カラー団結式」と言う式が行われます。
これは、体育祭で同じカラーになる1~3年生の仲間意識を高める式です。
この後、3年生の「カラーリーダー」を中心に「カラー練習」が行われるのです。
同じような仕組み(カラーリーダーなど)は他の学校にもあるでしょう。
ただ、「落ち着いている学校」と「荒れている学校」では、カラーリーダーの「動き」に違いが生じます。
具体的には、「落ち着いている学校」ではカラーリーダーが事前に「団結式」や「カラー練習」の準備をしていることで、式や練習がスムーズに進みます。
対して「荒れている学校」の場合は、カラーリーダが「その場」で式や練習の計画を立てるため、「ムダな時間」や「待つ時間」が増えていきます。
ただ、これはカラーリーダーの責任ではなく、「担任」や「学年部の先生」の責任なのですが・・・。
7.荒れた学校の得意技は「臨機応変(無計画)」
職員会議で配付された資料を見ると、9月の半ばに「団結式」が予定されていました。
体育祭の「団結式」は「3年生」と「3年部の先生」が中心となり行われます。
「私は最後の体育祭で赤組に勝ちたいと思っています。」
「楽しくやればいいではなく、みんなで協力して勝ちたいです!」
「カラーリーダーとして未熟な私は上手に指示を出したりできないかもしれません。」
「でも、勝つために考えたり、準備をしたりしていきます!」
「私は頼りないカラーリーダーです。」
「だから、みんなの協力が必要です!」
「私に全力で付いて来て下さい!」
「絶対に赤組に勝ちましょう!」
※ 上記の会話は、私の学年が3年生のときに「カラーリーダー」が話した内容です。
落ち着いている学校であれば、9月の職員会議で3年部から「団結式」や「カラー練習」の趣旨や予定のプリントが配布されます。
しかし、この年の「3年部の先生達」からは「団結式」や「カラー練習」のプリントは配布されませんでした。
※ 「荒れた学校」には「臨機応変(無計画)」という得意技があります。
8.本当のリーダーに近づいている1年学級委員
1~3年の赤組が集まって行われる「団結式」の日が来ました。
私の学年である1年生と長谷部主任の2年生は「3分前」には体育館に到着し、「1分前」には全員が整列して座っていました。
これは、学級委員達が率先して指示を出しクラスの仲間が従った結果です。
数日前、私が学級委員長に「団結式」の開始時間を伝えると、学級委員長が次のように言ってきました。
「先輩より遅くなるのは失礼ですよね!」
「1分前には体育館に整列して座っていればいいですか?」
「もう少し早いほうがいいかな~?」
「5分前にはクラスに呼びかけてをしなくちゃ!」など
私は「学級委員長」に全てを任せます。
もちろん、クラスの仲間達には次のような声かけをしました。
「学級委員に迷惑をかけるなよ!」
「指示を出されたらスグに従うんだよ!」
「学級委員は裏で色々とガンバっているんだからね!」
9.その場で「団結式」の段取りを考える3年生
5時間目の開始を告げるチャイムがなりました。
1年生と2年生は静かに座って待っています。
本来であれば、チャイムと同時に「3年生のカラーリーダー」が「団結式」について説明をするはずなのですが・・・。
3年生も体育館には来ているのですが・・・・。
静かに待っている1、2年生の横で3年生が大騒ぎをしています。
カラーリーダー達はステージの上で何やら相談をしています。
予想ですが、「団結式」をどのように進めるのかを話し合っているようです。
ただ、体育館に「3年部の先生」が1人もいないため、「団結式」の内容を決めかねている感じです。
10.全てを子供に任せると言って何もしない先生達
チャイムが鳴ってから10分が経った頃、体育館入り口から「担任」と「3年部の先生達(半分)」が入って来ました。
どうやら、「団結式=カラーリーダーに任せる」と考えているようです。
もちろん、「子供達に全てを任せる事で子供達の自主性を高めよう」と考えるのは、悪いことではありません。
しかし、その場合は事前に「準備」や「疑問」「練習内容」「進行」などを、教師とカラーリーダーで検討する必要があるでしょう。
ただ、「3年部の先生達」は子供達の「疑問」を受け付けていないようですし、「準備」や「進行」についての検討もしていないようです。
これでは、やる気を持ってカラーリーダーとなった子供達でも自信をなくしてしまいます。
全てを子供達に任せるにしても、せめて担任は授業開始前にカラーリーダーの子供達の側にいてあげて欲しいものです。
11.予想どおりグダグダに終わった団結式
どのように進行をしていいのか分からない子供達は、10分遅れて登場した担任に確認しながら「団結式」を開始します。
(まずは何をすればいいですか?)
『号令をかけて全体で挨拶をしよう。』
「全員、起立!」
「今から、団結式を始めます。」
「礼!」
(次は何をすればいいですか?)
『それじゃあ、1~2年生にカラーリーダーの意気込みを話して!』
「えっと、カラーリーダーとなった○○です。」
「みんなでガンバって赤組に勝ちましょう!」
この後もズッとカラーリーダーは、担任に「何をするか?」を確認して団結式を進行していきました。
当然ですが、1~2年生の「カラーに対する気持ち」は高まらず、グダグダのまま団結式が終わったのです。
12.1回目のカラー練習を教頭が見に来た!
3日後。
初めてのカラー練習が行われました。
ただ、授業開始前の様子は前回と変わりません。
1分前にはキレイに整列して座って待っている1~2年生に対して、3年生はチャイムが鳴っても「並ばず」「座らず」に騒いでいます。
カラーリーダーも前回と同じように、チャイムが鳴ってから、「カラー練習」の打ち合わせをしています。
当然ですが、3年部の先生は1人もいません。
しかし、今回は「団結式」と違うところがありました。
それは、学校通信にカラー練習の記事を載せるため、教頭が写真を撮りにグランドに来ていたのです。
13.見学に来た教頭はバリバリの生徒指導畑出身
西中学校の教頭先生は女性の先生ですがバリバリの生徒指導畑出身の先生で、数々の伝説を持っている先生でもあります。
※ 実際に私は同じ学校でいくつかの伝説の目撃者となっています。(笑)
子供達の「言葉使い」や「カラカい」「いじめ」などに厳しく、「悪意のある言葉」を子供が使ったときは、その子供に反省の色が見えるまで指導を続ける先生です。
そんな教頭(当時、教員)は「指導主事訪問」で伝説を残します。
※ 「指導主事訪問」とは指導主事(偉い先生)が全ての先生の授業を10分ずつ見て回り、放課後の研修会で授業の感想や改善などの指導をする研修です。
当時、教頭は指導主事訪問で「学級崩壊クラス」の授業をすることになってしまいました。
授業が始まってスグに「クラスの元気な男の子」が「静かな子」のミスをカラカう発言をします。
「あんたっ!」
「今、言った言葉をもう1度、言ってみなさい!」
「それは、完全に○○くんをカラカった発言よね!」
「は~、悪気はなかった?」
「そんなのは関係ないでしょ!」
「悪気がないって言えば許されると思ってるの?」
「私はそんな嘘には騙されないからね!」
「教師をナメるんじゃないよ!」
「そもそもね、あんた達はスグに・・・・・。」
教頭の説教は30分続いたそうです。
途中、指導主事が教室に来た10分間も説教を続けていたのです。
14.騒いでいる3年生を注意しようとする教頭
教頭は「カラー練習」での1~2年生と3年生の様子の違いに驚いていました。
本来は「リーダーとしてガンバっている3年生」の写真を取りに来たのですが・・・。
目の前には、教頭の想像と逆の光景があったのです。
リーダーとして見本になるはずの3年生がおしゃべりを続け、先輩について行くはずの1~2年生が静かに待っている光景です。
生徒指導の血が騒いだのでしょうか?
教頭は3年生を注意しようと歩き出しました。
しかし、教頭という立場を思い出したのでしょう。
一旦、立ち止まって周りの様子を確認します。
どうやら、3年部の先生達に声をかけ「3年生を指導させよう」と思ったようです。
15.教頭が3年部の先生を探すが・・・
ただ、残念な事にグランドには3年部の先生達が1人もいません。
それを悟った教頭は自ら3年生に注意をするためカラーリーダーの所に向かいます。
本当なら、そのまま教頭に「怒ってもらいたかった」のですが・・・・。
さすがに、学校ナンバー2である教頭に3年生を「怒ってもらう」わけにはいきません。
私は生徒指導主事として、教頭より先に注意をします。
「3年生!」
「静かにしなさい!」
「カラーリーダーっ!」
「スグにカラー練習の指示を出しなさい!」
私はそのままカラーリーダーの横に行きカラー練習の「指示だし」を手伝ったのです。
16.教頭が3年部の先生達を倉庫裏へ連れて行く
団結式の時と同様、授業開始10分後に「担任」と「3年部の先生達(半分)」がグランドに登場しました。
ただ、団結式と違い今回はカラーリーダーが練習の指示だしをしています。
(私が横でアドバイスをしているのですが・・・。)
その姿を見た「担任」と「3年部の先生」はご満悦の表情をしています。
しかし、子供たちの後方で様子を見ていた教頭が「3年部の先生達」の所に向かいました。
そして、私に目で合図をして「3年部の先生達」を倉庫の裏で連れていったのです。
私は3年部ではありませんが、カラーリーダーの子供達と一緒にカラー練習を続けます。
練習後の話になりますが、カラーリーダーの子供達は私の所に「次のカラー練習」の相談に来ました。
元々、「やる気」を持ってカラーリーダーとなった子供たちです。
私はカラーリーダーの相談にのり、その後のカラー練習の計画を一緒に立てたのです。
17.3年部の先生達は反省した?対応を変える?
カラー練習の時間が終わっても「3年部の先生達」はグランドに戻ってきませんでした。
どうやら、30分近く教頭に指導されていたようです。
放課後、教頭が私に声をかけてきます。
「カラー練習のときは注意をしてくれてありがとうね!」
「西川先生が怒ってくれて助かったよ!」
「本当は私がおもいっきり3年生を怒りたかったんだけどね!(笑)」
さらに教頭は「3年部の先生達」について話をしました。
「若い先生からは反省の色が見えたんだよね!」
「これからの対応について、次のように言ってたわよ!」
『これからは、子供達より先に体育館に行く!』
「当たり前の事なのにね~。」
18.子供たちを信じて全てを任せた?
ただ、渡壁主任は最後まで理想を口にしていたようです。
『私は子供達の自主性を大切にしています!』
『カラーリーダーの子供達を信じて全てを任せていたんです。』
『教師が見ていない方が自分達のやりたいようにできるでしょう!』
『だから、少し遅れてグランドに向かったんです。』
「理想ばかりで現実を見ていない!」」
「渡壁先生は昔から変わっていないのよ!」
「今のままじゃ、子供たちは自信をなくしてしまうわよ!」
「当然、次からは自分で動かなくなる。」
「リーダーをやる子供が減っていくダケよ!」
「本当に口は達者で、理想を語るのよね~。」
「でも、現実を見ていないから、渡壁先生のクラス(学年)はいつも荒れるのよ!」
どうやら、渡壁主任が担任をしていたクラスは落ち着きがなかったようです。
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