修学旅行の夜に男子が女子の部屋に忍び込んで王様ゲームをした!学校内ダケで「荒れ」ている子供達②

荒れた学校

深夜の王様ゲームを「仲が良い」で済ませる主任



1.問題行動を注意をすると素直に謝る子供達

ある年、私はB市の西中学校に生徒指導主事として赴任をします。

B市への異動希望を出していた私でしたが、配属された学校は希望に反し西中学校でした。

西中学校には「荒れている」という噂はありません。

そんな西中に勤務を始めると、新3年生の中に問題行動をする子供達がいる事が分かりました。

しかし、教師が「筋の通った注意」をすると、子供達は素直に謝ったり、従ったりします。

ただ、私の中に「不安に思う気持ち」がなかった訳ではありません。

なぜなら、新3年生の学年主任は「元気のある子」や「その保護者」から人気のある渡壁主任だったからです。

私は教員生活25年のうち、8年ほど渡壁主任と同じ学校に勤務しています。

幸い、同じ学年部になったことはないのですが・・・。

生徒指導主事として、教科担任として、渡壁主任の学年には何度も関わってきました。

ただ、申し訳ありませんが、どの学年も・・・・。

2.地域から苦情があっても・・・

私が勤務してスグに地域の方から苦情の電話がありました。

どうやら、新3年生が下校途中に、電話を下さった方が飼っている犬に石を投げていたようです。

私は「地域の方の苦情」を渡壁主任に伝え指導をお願いします。

しかし、それ以降も定期的な「地域の方」や「保護者」「部活の外部コーチ」からの苦情は続きます。

そんな状態を危惧した校長は、生徒指導主事である私に新3年生の「指導」や「注意」を命令します。

仕方なく私は苦情の元である「元気な子供たち」を呼んで指導をします。

その後、学年主任である渡壁先生にも指導内容を伝えるのですが・・・・。

「悪気はないんだよ!」
「心の中では悪いと思っているんだよ!」
「あの子たちにも良い所がたくさんあるんだよ!」
「人間は失敗する生き物なんだよ!」
「優しく見守ってあげることが大切だ!」

3.新3年生になった姉の相談をしてくる母親

3年生が楽しみにしていた修学旅行が終わって少し経った頃、ある保護者が私に会いにきました。

その保護者とは、私が担任をしているクラスの子供のお母さんです。

「先生、○○(私のクラス)の姉Xの事で少し相談があるのですが・・・。」

姉Xは特に真面目なわけでもなく、かといって不真面目でもない女の子です。

友達関係も良好で誰とでも仲良く出来るタイプの女の子です。

ただ、修学旅行で「元気な男子」A,B,Cが起こしたトラブルに巻き込まれてしまったようです。

このトラブルは生徒指導主事の私の耳には入っていません。

『学年の先生達で解決したのかな?』
『教頭、校長は知っているんだろうな。』
『生徒指導主事が入る必要はないって事かな?』

4.修学旅行の夜に男子が女子の部屋へ

お母さんは相談を続けます。

「XはクラスのY、Zと同じ部屋で宿泊することになりました。」

YとZはクラスで「1軍」と言われている元気な女の子です。

「修学旅行の夜の事なのですが・・・。」
「深夜の1時にXが寝ているとドアをノックする音が聞こえたそうです。」
「すると、YとZがスグにドアを開けました。」
「そこには、男子のA、B、Cがいたのです。」
「どうやら、A,B、C、Y、Zは禁止されているスマホを持ってきていたようです。」

『今からソッチの部屋に行くから、ドアを4回ノックしたら開けて!』
『アイツら(先生たち)は11時までしか見回りをしないらしい!』
『さすがに1時ならアイツら全員寝ているから大丈夫!』

AがYに送ったLINEの内容です。

5.生徒が寝ていると思って余計な事を話す主任

実際、3年部の先生たちは11時の見回りを最後に就寝したようです。

※ 夜11時の見回りは後の振り替えにより勤務時間内となりますが、それ以降は勤務時間ではありません。

ただ、渡壁主任は見回りの時に次のようなことを口にしていました。

「ほらっ!」
「みんな、もう、眠ってるよ!」
「何だかんだ言っても子供なんだよ!」
「疲れて寝っちゃってるよ!」
「カワイイ寝顔をしてるね~。」
「見回りはコレが最後でいいでしょ!」
「子供たちが他の部屋に忍び込むことはないでしょ!」
「我々も寝て、明日に備えましょう!」

寝たふりをしていたA,B、Cは、この話を聞き「1時であれば絶対にバレない!」と思ったそうです。

6.深夜3時まで男子が女子の部屋に

深夜の1時に男子3人が部屋に来たことに驚いたのは、何も知らされていなかったXです。

ただ、YやZに男子3人を部屋に入れないように言うことは出来ません。

(YとZはクラスの1軍女子ですので、敵に回したくなかったそうです。)

そこで、Xは寝たふりをします。

「あれ、Xは寝てるの?」
「まっ、いいか!」
「5人で盛り上がろうぜ!」

それから2時間ほど5人は「教師の話」や「親の話」「芸能人の話」などをして盛り上がっていたそうです。

そして、深夜3時頃に男子3人は自分たちの部屋に戻っていったのです。

7.翌日の夜も女子の部屋に来る男子達

翌日。

YとZは部屋に男子3人が来たことをXに言いませんでした。

Xが寝ていると思った2人は、男子3人が部屋に来たことを黙っていようと決めたようです。

しかし、YとZは禁止されている「スマホ」を使い男子3人と連絡をとります。

『昨日の夜は楽しかったね!』
『今日の夜も部屋に来る?』
『分かった!』
『昨日と同じ深夜1時ね!』
『着いたらドアを4回ノックして!』

Xは1日目と同様、12時には布団に入ります。

少ししてウトウトしていると、昨日と同じように部屋のドアが4回ノックされます。

それに反応したYとZがドアを開けると・・・。

「今日も来たぜ!」
「また、5人で盛り上がろうぜ!」

8.修学旅行の夜に王様ゲーム

Xが布団にくるまり寝たふりをしていると、男女5人は話を始めました。

ただ、会話の内容は1日目と違い「好きな人の話」から始まり「性的な話」になったそうです。

「初キッスは?」
「経験ずみ?」
「経験人数は何人?」
「1人でやったりするの?」

興奮した男子が「王様ゲーム」を提案したそうです。

ただ、さすがに修学旅行ということもあり、実際に「キスをする」や「胸を触る」などの行為には発展していなかったようです。

※ Xの証言と5人の証言は一致していました。

9.主任に相談をしたら「いじめ」られる

修学旅行が終わった後、家に帰ったXはお母さんに相談をし、お母さんが生徒指導主事である私に相談をしたのです。

なぜ、担任や渡壁主任に相談しなかったのかを聞くと・・・。

「娘が担任や渡壁主任に相談したくないと言ったんです。」

『3年部の先生に相談したら、私が相談したことがスグにバレる!』
『渡壁主任は私から聞いたって絶対に言う!』
『5人が嘘をついたら、渡壁主任はそれをスグに信じる!』
『多分、その後に私は5人に呼び出される!』
『だから、絶対に学校には言わないで!』

「説得したら西川先生になら相談しても良いと許可をもらいました。」
「どうか、娘からの情報であることはバレないようにして下さい。」

10.校長と対応を検討し実行!

私は最初に校長に相談をしました。

すると、校長は修学旅行で「男子が女子の部屋に行った」報告を受けていないと言います。

ただ、渡壁主任は事件を隠蔽しているわけではなかったようです。

単純に「男子が女子の部屋に行っている事」に気づいていないダケだったのです。

私は「事前にお母さんから聞いた情報」を校長にだけ伝え、校長と一緒に今後の対応方針を決めます。

・情報源は3年部職員にも秘密にする。(知っているのは校長と私のみ)
・Xが情報源と気づかれないように、A,B,C,X,Y,Zの6人から事情を聞く。
(Xも一緒に呼び出すのがポイントです。)
・1、2年の生徒指導部担当が個別に同時進行で話を聞く。
・聞いた情報を元に3年部教員、生徒指導主事、校長、教頭で5人への処分を決める。
・場合によっては保護者を呼び出し厳重注意をする。
(Xの保護者を呼び出すかは、その時の状況によって判断する。)

私は女子のボスであるZから話を聞きました。

ただ、何度か私に指導を受けているZは、私の性格をよく知っているため、次のように思ったようです。

『全てを正直に言った方がいい!』
『後で違う事実が出てきたら、絶対に怒られる!』
『逆に最初から正直に話せば許してもらえる!』

実際、Zは最初から最後まで全てを詳しく話してくれました。

さらには、翌日、LINEのやりとりを印刷してきてくれました。

11.親と子供を呼び出し厳重注意!

男女5人(6人)の話は大筋で一致していました。

(男子の方は嘘を言って何とか罪を軽くしようとしていました。)

この情報を元に「3年部職員」と「生徒指導主事(私)」「校長」「教頭」で事後の対応を検討します。

その結果、校長は次のような対応を3年部に指示しました。

「5人(6人)には厳重注意を行う。」
「罰として反省文を書かせ清掃活動を行わせる。」
「深夜に男女5人(6人)が同じ部屋で4時間過ごしたことは重大な問題である。」
「そこで、5人(6人)の保護者を至急呼び出し事の顛末と今後の対応を伝える。」
「家庭でも強い指導をお願いする。」

渡壁主任は納得いっていないようでしたが「校長の命令」と言うことで、渋々、了承しました。

12.全く反省をしていない5人

3年部が「子供達の指導」と「保護者へ説明」をした2日後。

Xのお母さんから私に連絡があります。

そこでは、次のような話を聞くこととなりました。

「先生!」
「娘の対応を上手にして下さってありがとうございました。」
「6人が呼び出された後、娘は5人から謝られたそうです。」

『Xちゃんゴメンね~!』
『私達がしたことに巻き込んでしまって!』
『寝てただけだから関係ないのにね~。』
『本当にゴメンね~!』

どうやらXが情報源ということはバレていないようです。

「ただ、5人は次のようにも言っていたそうです。」

『誰がチクったんだろう?』
『本当にムカつくよね~!』
『多分、隣の部屋のヤツじゃね?』
『抜け出すときのドアの音やノックで気づいたんじゃね?』
『チクるなんて最低だよな~。』

13.親に謙って学校に来てもらう担任

それぞれの保護者が呼び出されたことについても教えて下さいました。

「一昨日、担任の先生から丁寧な連絡がありました。」

『誠に申し訳ありませんが、明日の18時に学校に来ていただけませんか?』
『修学旅行のトラブルの件について、皆さんにお伝えしたいことがあるんです。』
(男子が深夜に女子の部屋に行った事実が伝えられる。)
『ただ、子供たちは良い子たちなので、変なことはなかったんです。』
『だから、一応、学校での指導の様子と今後についてお伝えしたいんです。』
『はい、30分ほどですので御来校をお願いいたします。』

問題行動を起こした子供の親に対して、そこまで謙(へりくだ)らなくてよいと思うのですが・・・。

14.修学旅行の思い出となる出来事?

保護者への報告会(?)には6人全ての保護者が集まりました。

そこでは、渡壁主任から次のような話があったそうです。

「修学旅行の深夜1時に3人の男子が女子の部屋に遊びに行きました。」
「そのときXさんは寝ていたようで、残りの5人で話をしていたそうです。」
「5人はいつも仲が良いので、その延長で女子の部屋で盛り上がってしまったようです。」
「ただ、男女が深夜に同じ部屋にいるのは良くないことですので注意をしました。」
「子供たちに悪気はなかったようで、スグに反省してくれました。」
「まあ、修学旅行という普段と違う場所で舞い上がってしまったのでしょう。」
「誰にも失敗はありますから気にしないでいいと思います。」

すると、1軍の5人の保護者たちが次のように言ったそうです。

「あの子たちは保育園から一緒だしね~。」
「昔っから、みんな仲がいいよね~。」
「修学旅行で調子に乗っちゃったんでしょうね~。」
「夜に異性の部屋に行くのは修学旅行あるあるですもんね~。」
「5人で楽しく、おしゃべりをしたんでしょうね~。」
「これは、修学旅行の思い出の1つになりますね~。」

15.王様ゲームについて親に伝えない主任

Xさんのお母さんが呆れていると、渡壁主任が同調したそうです。

「そうですよね~。」
「修学旅行で盛り上がって、ついつい、ルールを破っちゃったんでしょうね!」
「まあ、誰にでも間違いや失敗はありますし!」
「5人が仲が良いことは学校でも分かっています!」
「残りの中学生活も仲良く過ごしてほしいですね~。」

渡壁主任と5人の保護者達は楽しそうに話をしています。

それを見たXさんのお母さんは、次のように感じたそうです。

「子も子なら親も親だ!」
「仲が良いと言って、年頃の女子と男子が同じ部屋で過ごすのは・・・。」
「さらには、王様ゲームもしているのに・・・。」
「何で渡壁主任は王様ゲームの話をしないんだろう?」
「性的な話もしているのに・・・。」
「もしかして、本気で子供たちが反省していると思ってるの?」
「娘の言うとおり、渡壁主任に相談をしなくて良かった。」
「もし、渡壁主任に相談をしていたら・・・・。」

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