問題行動を注意できない先生達
目次
1.悪い評判を聞いたことがない小規模校へ転勤!
ある年、私はB市の西中学校に生徒指導主事として勤務することになりました。
西中学校は「各学年2クラス(1クラス30人)」で「全校生徒が約180人」の学校です。
前任校が「全校生徒約600人」の学校でしたので、着任式で全校生徒を見た私は次のように感じました。
「生徒が少なっ!」
「前の学校の学年集会より少ないじゃん!」
同時に次のような気持ちにもなりました。
「この学校の悪い評判は聞いたことがないよな!」
「他の学校とケンカしたり、町で暴れたりしたという情報もない!」
「生徒数も少なくトラブルもない!」
「何て良い学校に勤務したんだ!」
「やったー!」
2.免許外申請をして他教科も教える事に!
私の担当は「生徒指導主事」と「1年担任」「教科主任」です。
1学年2クラスで全校6クラスの場合、5教科の先生はそれぞれ「2人ずつ」必要となります。
ただ、全校生徒数の関係で、5教科の教員が「2人ずつ」勤務することはほとんどありません。
この西中学校も同様でした。
それでは、授業の割り振りはどのようになるのでしょうか?
西中学校の場合は、私が「自分の教科」+「他の教科」を受け持つことになっていました。
もちろん、授業をする場合は「免許外申請」を教育委員会に行い、許可を得る必要があります。
※ 免許外申請が却下されることはありません。
3.誰がどの教科を担当するのか決めるのは誰?
最初の職員会議では次のような提案がされていました。
・私(1年担任):1年生2クラス、2年生(免許外)2クラス、道徳、学活、総合
・長谷部先生(2年主任):2年生2クラス、3年生2クラス、総合
しかし、長谷部先生は職員会議で次のように発言します。
「担当授業は教科部会(2人)で検討していいですか?」
「検討の結果、担当授業を変えてもいいですか?」
これに対して教務主任が次のように言います。
「校長、教頭、教務で検討して決めた事ですので・・・。」
「基本はこのままでお願いしたいのですが・・・。」
しかし、長谷部主任は引き下がりません。
「お願いしたいということは、変えても良いということですね!」
「教科部会で相談させて下さい。」
4.俺の代わりに3年生の担当になって!
教科部会で長谷部先生は次のように仰いました。
「西川先生!」
「3年生の授業をやってくれないかな?」
「先生は中堅だから3年生の授業を何度もしたことあるでしょ?」
「だから、3年生をやっても問題はないでしょ?」
「俺は2年主任だから少しでも2年生と一緒にいたいんだよね!」
さらに長谷部先生は次のように仰います。
「西川先生は教科外を教えたことある?」
「えっ?」
「教科外の授業は始めて?」
「それじゃあ、授業の準備とか大変だよね~。」
「俺は何度かやってるからスグにでも教科外授業ができるよ!」
そして、最後に次のように仰いました。
「西川先生は生徒指導主事で大変だから、少しでも負担を減らしてあげたいんだ!」
「俺が2年生の教科外授業をやってあげるよ!」
「1年生と3年生の授業の方が楽(らく)でしょ!」
5.何で3年生を嫌がってるの?
長谷部先生が「3年生と関わりたくない」と思っている事が分かった私は、次のように応えます。
「気を使っていただき、ありがとうございます。」
「私は2年生でも3年生でも問題ありません。」
「長谷部先生のお考え通りにして下さって結構です!」
しかし、私の心の中には次のような考えが浮かんでいました。
『長谷部先生は3年生をイヤがっている。』
『ということは・・・・。』
『もしかして、3年生が荒れているパターン?』
『でも、悪いウワサは聞いたことないしな~。』
『とはいえ、これだけ長谷部先生がイヤがっているということは・・・?』
『ん~ん?』
『まっ、授業が始まれば分かるかっ!』
当然ですが、長谷部先生は大喜びです。
「いや~、西川先生、ありがとう!」
「今度、一緒に飲みに行こうね!」
「オレが奢るからさ!」
「いや~、本当に良かったよ~!」
「これで、今年もガンバレルよ~。」
6.荒れている学年は異動してきた先生に任せよう?
校長、教頭、教務は、同じ先生が「同じ学年で2教科」を教える状態にしたくなかったのでしょう。
また、3年の教科を他の学校から「赴任してスグの教員」が行うのではなく、「以前から勤務している」教員に任せたかったのでしょう。
3年生の親の立場で考えても、「知らない教員」がいきなり担当になるより、少しでも「知っている教員」が担当になった方が安心です。
ただ、3年生が「荒れている学校」では話が変わってきます。
他の学校から「赴任してきてスグの教員」が担任となったり、教科を担当したりすることは珍しくありません。
これは、「以前から勤務している教員」が「新学期の希望調査」で「荒れている学年」を希望しないからです。
※ 地域や校長によっては「新学期の希望調査(担当学年や部活顧問の希望)」を実施しません。
7.パワハラと言われないようにする校長
本来であれば「学級崩壊クラス」や「荒れている生徒」は、その学年で持ち上がっている先生が担当するのが当たり前でしょう。
しかし、「荒れている学校」の先生たちは、校長に自分の気持ちを正直に伝えます。
「私は○○さんや□□くん(問題児)の担任はしたくありません!」
「子育てがあるので、不登校の子供を私のクラスに入れないで下さい!」
「△△(問題児)と私は相性が悪いので別のクラスにして下さい!」など
このような希望を聞いてしまった校長や教頭、学年主任はどうするのでしょう?
先生達の希望を無視して、「荒れている学年」の担任をやらせるのでしょうか?
嫌がる先生達に「荒れている学年」の教科を担当させるのでしょうか?
当然ですが「パワハラ」を恐れている校長や教頭、学年主任が、苦情がでそうな校務分掌を計画する訳がありません。
その結果、他の学校から「異動してスグの先生」を荒れている学年の「担任」にしたり、「担当」にしたりするのです。
8.学校の中では調子に乗れちゃう子供達
新学期が始まります。
授業や学校生活で3年生を見た私は、次のように感じていました。
「全体的に真面目な子が多いな!」
「でも、一部の子供たちは・・・。」
そうは言っても次のような印象も持っています。
「一部の問題児も注意をすると素直に聞く?!」
「全く反抗してこない?!」
「あ~、そうか~。」
「学校の中では調子に乗っちゃうタイプだ~。」
「だから、生徒指導主事の研修や警察との連絡会議などで情報が出て来ないんだ!」
ただ、同時に次のような事も感じていました。
「何で先生たちは注意をしないの?」
「3年部の先生は見て見ぬ振りをしている。」
「完全にナメられちゃってるな~。」
9.3年生に「筋の通った対応」をしたら?
私は毅然とした態度で3年生の授業に臨みます。
忘れ物をしたときは注意し、ガンバっている時は褒める。
提出物も期限を破ったり、適当にやったりしていた時は注意する。
素直に謝ったり、丁寧にやったりしていた時は褒める。
私は教師として「当たり前」の事を子供たちに伝え、それが出来なければ支援をしたり、注意をしたりします。
もちろん、「当たり前」の事を「当たり前」に出来たときは、それを「当たり前」と思わず褒めて認めます。
元々、それほど大きな問題を起こす子供たちではなかったため、私が注意をするとスグに反省し、同じミスをしないように努力してくれました。
10.学校のルールを破った服装で部活練習
3年生は部活でも「小さな問題」を起こしてくれました。
赴任して初めての部活練習では、3年生が次のような「小さな問題」を起こします。
・レギュラー2人が禁止されているブレスレットやネックレスをしている。
※ プロの選手が腕や首に付けているものです。
私はスグに注意をします。
すると3年生は次のように言ってきます。
「コレをしていると力が出るんです!」
「練習に集中が出来るんです!」
「前の顧問の先生からは注意をされていません!」
前顧問はブレスレットやネックレスを「認めた」ではなく「注意をしなかった」ようです。
※ 子供たちとトラブルになる事を恐れていたそうです。
11.毅然とした態度で注意をすると・・
私は子供たちに次のように伝えます。
「大会や試合でブレスレットを付けるのは禁止だよね!」
「プロの選手はしているかもしれないけど、中学生や高校生の大会では禁止だよ!」
「もちろん自主練習の時に使うのは問題ないよ!」
「ただ、学校の練習では認められないな!」
私は長年の生徒指導主事の経験から、子供たちが反論してくると考えていました。
『大会で使えなくても力が出るんです!』
『練習に集中できれば、大会で良い結果を出せるんです!』
『ガンバって勝ちたいと思っているのにジャマをするんですか?』
『僕たちのやる気をなくそうと言うんですか!』など
事前に副顧問から聞いていた話しでは、そこまで熱心に練習はしていないとの事です。
走る練習や筋トレなどの辛い練習は適当に行い、実践練習や紅白戦など楽しい練習は熱心に参加するタイプのようです。
私は彼らの完全に論破してやろうと思っていたのですが・・・。
注意をされた彼らはスグに謝罪の言葉を口にしてくれました。
「ルールを破ってすみませんでした。」
「もう2度としません。」
「許して下さい。」
12.悪いことを注意できない教師達
3年生の中にはスグに調子にのってしまう子供がいます。
しかし、その子供に「当たり前」の事を伝えるとスグに行動を改めてくれます。
ただ、生徒指導部会では次のような「3年生の問題行動」が報告されていました。
・授業中に堂々と寝ている。
→注意をするとスグに起きて授業に取り組む。
・休み時間に漫画を読んでいる。
→授業中には読むことはない。
・部活の練習中にしゃべっている。
→部活をサボって町に行くことはない。
申し訳ありませんが、これらは「3年生」の問題ではなく「3年部の先生達」の問題です。
私は生徒指導主事として、職員会議で次のように伝え続けました。
「子供たちが授業中にしゃべったり、出歩いたり、寝たりしたときは注意をしましょう!」「マンガやスマホなど、不要物を持ってきているときも指導をしましょう!」
「部活練習にも積極的に参加できるように声をかけましょう!」
「何も注意しないと問題行動が悪化し、教師を無視するようになるんです!」
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