不要物のスマホを預かったら・・・
目次
1.どの学校にもモンペはいる?
「あなたの学校にモンスターペアレントはいますか?」
「モンスターペアレントのウワサを聞いたことがありますか?」
私は25年の教員経験から、どの学校にもモンスターペアレントの親御さんが1人はいると思っています。
しかし、モンスターペアレントと呼ばれる親御さんのクレームや苦情をしっかりと聞いてきた私は、これらのクレームや苦情には3つの種類があると感じました。
2.理不尽なクレームやお願い
明らかに、親の「都合」や「偏った考え」から出てきているクレームです。
これは学校が対応すべき範囲を超えている内容の場合がほとんどです。
ただし、理不尽なお願いであっても、親御さんが苦しい状況で学校に助けを求めている場合もあります。
そんなときは、理不尽と分かっていても対応をしなければならないでしょう。
具体例
「スマホ没収時間の料金請求」
「仕事終わりの買い物を禁止しろ」
「HSCだから怒らないで」など
3.理解できる内容が含まれている苦情
苦情の内容に「理解できる事実」が含まれている場合もあります。
この場合は、学校として対応すべき内容と対応を検討する内容の分別が必要となります。
このような苦情は、学校側が事前に正しい支援や対応、周知徹底を行うことで、苦情を回避することができる事例が多いのも事実です。
具体例
「担任に叱られ傷ついた慰謝料を払え」
「授業参観中のおしゃべりや授業介入」
「連写で写真をとったり、動画を取るために動き回る親」
「おねしょが心配!3時間おきに子どもを起こして」など
4.正常な要望
学校はモンスターペアレントが言ってくる「クレーム」=「理不尽な要求」と捉えてしまうことがあります。
しかし、思い込みを捨てて話を聞くと、その内容が「正常な要望」であることも少なくありません。
この場合、学校はしかるべき対応を行わなければなりません。なぜなら、モンスターペアレントが言っていることが「正しい事柄」だからです。
具体例
「いじめられて学校に行けなくなった。学業の保障をしてほしい。」
「部活顧問が差別をしているのではないか?」
「なぜ、授業中に出歩いていることを注意しないのか?」など
5.スマホを持ってきたことがバレて没収!
放課後。1年生の昇降口前を通るとK先生が生徒を指導しています。
「今、スマホを使っていたよね!」
「私はこの目で見ましたよ!」
「学校にスマホを持ってきた場合は学校で預かると分かっていますよね?」
「早く、スマホを出しなさい!」
「保護者の方に連絡をして取りに来てもらいます。」
「あなたからも保護者に伝えておきなさい!」
どうやらスマホを持ってきて、コッソリ使っていたようです。
それを発見したK先生は学校の規則に従い生徒からスマホを預かりました。
K先生の対応を見るかぎり、何も間違ったことはしていないように思います。
この後、保護者に連絡をして、保護者がスマホを取りにきて、謝罪をしてくれれば、この問題は解決となります。
6.スマホ没収を保護者に連絡する担任
K先生はスマホを預かっている旨を保護者に連絡します。
すると、保護者はスグに学校に来てくれました。
後から分かったことですが、この保護者は「理不尽なクレーム」を小学校に言い続け、モンスターペアレントと言われていた保護者だったようです。
7.子供の個人情報を盗んだだろ!
開口一番、モンスターペアレントは意味の分からないことを言います。
「先生は勝手にラインやメールを見たのではないですか?」
「うちの子のスマホにはロックをかけさせていません。」
「だから、簡単に見ることができたでしょう?」
K先生が電源を切らせていなかったことは失敗でした。
また、勝手にロックがかかっているだろうと思ったのも失敗です。
K先生がモンスターペアレントにスマホを返すと、モンスターペアレントはこう言います。
「やっぱり、電源が入っている!」
「子どもの個人情報を盗んだんですね!」
K先生がいくら無実を訴えても、モンスターペアレントは信じてくれません。
8.モンペに教頭と学年主任が謝罪
「見ている事」を証明するのも難しいですが、「見ていない事」を証明するのはもっと難しい事です。
私が相談室に呼ばれたのはモンスターペアレントが学校に来てから30分が経った頃です。
どうやら、スマホを子どもから預かってから職員室に戻るまでに、K先生がスマホを操作していないことを証言するために呼ばれたようです。
私はK先生の無実を訴えますが、モンスターペアレントは聞く耳を持ちません。
最終的には教頭と学年主任が謝罪をすることで、モンスターペアレントは帰っていったようです。
もちろん、不要物であるスマホを学校に持ってきたことをモンスターペアレントが謝ることはありませんでした。
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